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STEP4 貯める 第15回  「フロー」と「ストック」を意識しよう

家計に強い不安を感じた場合、人は大体「節約」か「投資」、いずれかの行動をとります。 みなさんは「普通節約だろう」と思われるかもしれませんが、十分なお金がないのに、投資をしてしまう人は少なくありません
。 たしかに、投資をすれば、短期的に大きく利益が殖えることもあります。 しかし、反面では、ただでさえ心許ない家計が崩壊するリスクもはらんでいるのです。 にもかかわらず、投資をするというのは、「今後」のことに目が行きすぎて、「今」を大切にしていない証拠ではないでしょうか

ストックは毎月のフローの積み重ね

これから資産、つまりストックを殖やしていこうというとき、節約と投資ではどちらが確実かといえば、それは間違いなく節約です。
冒頭でも触れたように、毎月のお金の出入りをフローと呼びますが、フローは「毎月の収入―支出」で算出します。そして、ストックは、このフローの積み重ねなのです。つまり、フローが毎月マイナスであれば、ストックは殖えません。そのため、フローを健全化する節約は、投資よりも先に考えるべきことなのです。

最近お会いしたAさん(32歳男性・独身)は、次のような話をしていました。

「私は投資にまったく興味がありません。そんなことしなくても、十分貯まるからです。でも、世の中では、投資しないとお金が貯まらないかのように言われますよね。それってどうなんでしょう? それとも、こんな疑問を持つ僕のほうがおかしいのでしょうか」

このAさんは、330万円程度の年収ながら、すでに1,000万円前後の預貯金を持っていました。話の内容にある通り、投資は一切していません。ただ、毎月の収支を赤字にしないようにする、つまり余らせる、ということだけは意識していたそう。このように、フローだけを意識していれば、ストックはそこまで気にしなくても、ここまで殖やすことができるのです。

「今」を見なければ、足元をすくわれる

これとはまったく対照的な、Bさんが話していた内容も挙げてみましょう。

「今月はFXがうまくいったんで、収支は大幅にプラスでしたよ。でも、先月はダメだったんですけどね。投資も失敗した上に、飲み会もたくさん参加したので大赤字です。でも、その前の月はプラスだったんで……」

もうおわかりだと思いますが、Bさんの家計のフローは乱高下していて、大きくプラスのときもあれば、大きくマイナスのときもあります。これでは、どんなに投資で儲かっても、実際にストックが殖えているのかどうかは、よくわからなくなってしまうのです。あるいは、Bさんは「今」よりも、今後」ばかりを気にする傾向があると言い換えることもできます。先のことを考えるというのは、もちろん必要なことなのですが、資産形成の初期段階においては、それよりもまず、今の状態の改善を考えることが先決です。

まず、ストックは簡単にすぐ殖やせるものではない、という意識を持ちましょう。本来、ストックは、フローをプラスにすることで、時間をかけて形成していくもの。ですから、フロー(今)を見つめているAさんは、投資をしなくても時間をかけて資産を築くことができたのです。
私は何も、投資をするな、と言っているわけではありません。むしろ、低金利が続く現代は、お金を有効に活用する投資も必要でしょう。しかし、それも健全なフローがあってこそ。Bさんの例でもわかるように、フローに問題があっては、投資で殖やしたお金もストックされていきません。実際に、フローに問題があるのに、資産家になったような人を(どこかにはいるのかもしれませんが)、私は見たことがありません。

たしかに、家計の見直しをするよりは、今後のことばかり夢想して投資するほうが楽しいものです。しかしながら、上手にお金を殖やす近道は「急がば回れ」なのです。まずは、退屈さや面倒くささを乗り越えて、今を意識することを習慣化しましょう。フローを健全化し、足元をしっかりと固めてから次のステップへ歩みだせば、おのずとこれからの将来が無限に広がります。将来を見据えた資産づくりをするためにも、目の前にある今と向き合いましょう。

Point! ストック(財産)を殖やすなら「急がば回れ」。まずはフローの健全化をめざそう!