特別コラム

「ペットのための信託」

犬や猫をはじめとしたペットを飼っている方は多いですが、飼い主に万一のことがあった場合、のこされたペットがどうなるのか心配したことはありませんか。
今回は、そんなペットの将来を考えるときに知っておきたい「ペットのための信託」について紹介します。

【特別講師】
當舎社会保険労務士・行政書士法務事務所
社会保険労務士 行政書士 CFP®
當舎 緑氏

第3回

ペットのための信託実践編

ペットのために信託を活用するためのポイントを、さらに実践編としてお伝えしていきたいと思います。
ただ、お金を節約するために自分でやってみようと思っても、契約の設定内容を考えること自体が難しいのは事実ですし、信託を設計できる専門家も少ないのが実情です。まずは、相談できる専門家を探すということをおすすめします。

ペットのお世話にかかる費用を見積もってみる!

ペットのお世話のための費用として、信託財産となるのは金銭です。途中でペットの飼育費が足りなくなることのないよう、しっかりと費用を見積もっておく必要があります。ペットに関する費用は、食費だけではありません。
我が家のウサギで考えてみても、持ち歩き用のバスケットに遊ぶためのサークル、遊ぶためのカマクラ、毛づくろいのくしやスプレー、旅行に行った場合の預ける費用、健康診断の費用、避妊手術の費用や医療費など、さまざまな費用がかかっています。年齢が上がるにつれて、病気になることも予想できますから、最初にペット保険に加入し、その後の医療費の負担を少しでも下げておく工夫もいるでしょう。
もし、金銭管理のために、会社を設立するという選択肢をすると、その運営を委託するための費用を、上乗せして見積もっておくことが必要です。

信託の契約書に盛り込む内容あんなことこんなこと : イメージ

信託の契約書に盛り込む内容あんなことこんなこと

登場人物の設定は必須です。中でも受託者の設定は困難が予測されますが、逆に言うと、ココが設定できれば、後の流れはスムーズにいくでしょう。
次に、どんなときに、信託契約が開始されるといいのか考えてみましょう。
「認知症などの病気になったとき」「老人ホームなど高齢者施設に入所することとなったとき」など具体的に考えておくといいですね。
また、信託財産は相続財産と分別管理されるといっても、兄弟姉妹以外の法定相続人がいれば、財産が減ることにあまりいい気持ちはしないかもしれません。
「遺留分」(*注1) に注意しながら、信託財産を決定しましょう。
また、お金に不安がある方は、生命保険などを活用するという選択肢もありますが、その場合でも死亡保険金受取人にペットがなることはできませんので、死亡保険金受取人を誰にするのか、争いにならないよう指定していただきたいものです。

(*注1)遺留分:兄弟姉妹以外の法定相続人に保障されている財産の取り分のこと。逆に言うと、兄弟姉妹には遺留分が認められていない

登場人物をしっかりと想定しておこう : イメージ

登場人物をしっかりと想定しておこう

信託には主たる登場人物が3人必要ですが、これ以外にも、いろいろなサブキャラを考えておくことが設計の難しさといえます。これが、オーダーメイドといわれる所以です。
飼育費などお金の流れが適正に使用されているか監督する「信託監督人」、信託が開始したときのペットの預かり先、元の飼い主が、ペットを飼ってもらうという利益を享受できる「受益者」で、その後相続が発生した場合の「二次受益者」。
また、ペットの寿命が約20年弱として、信託財産を設定しても、きっちり0円になるまで費用を見積もることは不可能です。そこで、残った財産の行き先となる「権利帰属者」など。意外と登場人物は増えていきます。
もし、会社組織にした場合は、相続後の代表者。
遺言は、亡くなった後の1回きりの状況を考えればよいですが、信託は、委託者が生きている時から亡くなった後、そして、さらに後のことまで設計できる柔軟性が特徴です。ペットのために信託を活用できれば、わが子のように可愛がっているペットが幸せな一生をまっとうできると信じています。

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