保険お役立ちコラム

がん保険の免責期間(猶予期間)とは?加入条件や注意点を解説

更新日:2023/1/18

※本記事についてのご注意

がん保険に入る前にぜひ知っておいてほしいのが、多くのがん保険には契約してから90日(3ヶ月)の免責期間があることです。免責期間は、保障の対象外となる期間を指しますが、がん保険加入者にとってはどんな意味を持つのでしょうか。また、がん診断給付金の支給要件については、各社でさまざまな違いがあることも知っておきましょう。この記事では、多くのがん保険に免責期間がある理由などを解説します。

契約者間の公平性を保つため、生命保険に加入するには告知が必要です。がん保険に加入をする場合も例外ではありません。仮に必要な内容について告知をしない、もしくは、事実と異なる告知をした場合は告知義務違反となります。この場合、保険金・給付金を受け取れないばかりか、保険会社から契約を解除されてしまう可能性があります。ここでは、がん保険の加入条件について解説します。

がん保険の加入条件

保険会社によって、がん保険の加入時に行う告知の質問内容は少し異なります。しかし、表現の違いはあっても「過去にがんになったことがあるか」「現在、がんの疑いがあるか」を問われることは、どのがん保険でも共通しています。

がんは再発のリスクがある病気です。体の一部で発見されたがんを手術や放射線治療で取り除いても、体内にまだがん細胞が潜んでいる可能性があり、それが再発や転移といった形で現れることがあります。そのため各保険会社では、がんの既往歴のほか、過去5年・過去2年・過去3ヶ月・現在といった形で時期を分けて、入院や手術、医師の診察・検査・治療・投薬、健康診断や人間ドッグでの検査結果などについて告知を求めることで、保険加入希望者のがんのリスクを判断しています。

告知義務違反とは

保険の契約手続きでは、健康状態の告知が必要です。事実と異なることを告知した場合や本来伝えるべきことを告知しなかった場合には、生命保険会社は告知義務違反と判断します。この場合、保険の責任開始日から2年以内なら、保険会社は契約を解除できます。また、2年を過ぎていても支払事由が2年以内に起きていれば、契約を解除できます。

がんの既往歴を告知しないと、告知義務違反で保険金・給付金が受け取れない

がんの既往歴があるのに告知をしない場合や、病院でがんの疑いを指摘されたにもかかわらず黙ってがん保険に加入したという場合には、告知義務違反にあたります。「何とかしてがん保険に入りたい」という気持ちから偽りの告知で加入したとしても、重大な告知義務違反をすれば、肝心なときに保険金・給付金を受け取れなくなります。

多くのがん保険には契約してから90日(3ヶ月)の免責期間があります。この場合、免責期間中にがんと診断されてもがん診断給付金が支払われません。では、がん保険の免責期間とはどのような期間で、何のためにあるのでしょうか?ここでは、がん保険の免責期間について解説します。

がん保険の免責期間とは?

免責期間とは、保障する責任を免れる期間のことを指します。多くのがん保険では、契約成立後に一定期間の免責期間を設定していることから、契約成立後すぐにがんと診断されたり治療を受けたりして保険金・給付金の支払事由に該当しても保障を受けられません。

がん保険の免責期間はいつから?

がん保険の免責期間を理解するために、まず一般的な生命保険の責任開始日についてご説明します。責任開始日とは、一般的な生命保険の保障が開始となる日です。原則として、「保険の申込み」「告知または診査」「第一回保険料の払込み」のすべてがそろった日が責任開始日となります。しかし生命保険会社によっては、保険料の支払いを口座振替やクレジットカードにする取扱いがあり、その場合は保険料の支払いを待たずに、「保険の申込み」と「告知または診査」が完了した日にさかのぼって保障が開始されます。

一方、多くのがん保険では、契約してから90日(3ヵ月)の責任開始日が設けられています。この場合、一般的な生命保険の責任開始日に当たる日から90日(3ヶ月)が免責期間となるため、免責期間が終わってから責任開始日が始まります。

がん保険の責任開始日とは?

がん保険の免責期間を知るうえで大切な責任開始日について、具体的な事例を挙げて紹介します。なお、ここまで免責期間を90日(3ヵ月)と書いてきましたが、がん保険の免責期間は90日、3ヵ月、あるいはそれ以外の期間を設定している保険会社もあります。ここでは90日の場合を例に考え方を説明します。

仮に5月17日に申込み、告知を5月19日、第一回保険料の払込みを5月21日にしたとします。その場合、一般的な生命保険であれば、3つすべてがそろった5月21日が責任開始日となります。

しかし、がん保険の場合は一般的な生命保険の責任開始日にあたる5月21日から8月19日までの90日(3ヶ月)の免責期間を経たうえで、その翌日である8月20日が責任開始日となります。

がん保険の免責期間が設けられている理由

がん保険は契約者間の公平性を保つために免責期間を設けています。がん保険に加入してから免責期間以内にがんが見つかっても、がん診断給付金やがん入院給付金などはもらえませんし、がん保険の契約そのものも無効になってしまいます。免責期間には、体調不良を感じている人が、検診を受ける前に急いでがん保険に加入して給付金をもらうなどのモラルリスクを防ぐ目的があります。

体調不良を感じたり、がん検診を受ける直前に不安になってがん保険に申し込んでも、間に合いません。90日(3ヵ月)の免責期間を念頭に入れて、余裕をもってがん保険の加入手続きを済ませましょう。

がん保険のなかには、上皮内新生物のがん診断給付金額を制限している場合や、支払回数に制限を設けている場合があります。がん診断給付金に関する注意点を解説します。

上皮内新生物でもがん診断給付金が満額もらえるか

上皮内新生物は、臓器の表面を覆う上皮内にとどまっているがんです。上皮内新生物は手術によって取り除くことができ、転移もほとんどしないといわれています。そのため、一般のがんの治療に比べると、治療期間が短くて済み、治療費の負担も軽く済むと考えられています。

この上皮内新生物に対するがん診断給付金の支払いは、がん保険によって各社異なる対応をしています。上皮内新生物でも、通常のがんと同額のがん診断給付金が支払われるがん保険がある一方で、上皮内新生物に対しては、がん診断給付金を支払わないがん保険や、給付金額を通常のがんの50%や10%程度に設定しているがん保険もあります。

がん保険に加入する前に、上皮内新生物に対しても同額のがん診断給付金が支払われるかを確認しておきましょう。

がん診断給付金の支給額と回数

がんと診断されるともらえる「がん診断給付金」は、入院日数や治療方法を問わずに活用できるので、とても便利な給付金です。がん診断給付金を考える際には、1回あたりの支給額と、支給される回数に注目しましょう。初めてがんと診断されたときに1回だけ支払われるがん保険と、がんと診断されれば複数回がん診断給付金が支払われるがん保険があります。複数回支払われる方が保障は手厚くなりますが、そのぶん保険料も高くなる傾向があります。

また、2回目以降の支給については、細かい支払い条件が付いていることもあります。保険料と保障内容のバランスをよく見て選ぶといいでしょう。

がん保険は、がんとわかってからでは入れません。がんの既往歴やがんの診断結果を隠してがん保険に加入し告知義務違反とみなされた場合や、加入後90日(3ヶ月)以内にがんと診断を受けた場合は給付金がもらえません。健康でいる今こそが、がん保険の入りどきです。

がん保険の特徴をよく知って、自分のニーズに合ったがん保険を選びましょう。幅広い選択肢から選んで加入するためにも、なるべく早めに検討することをおすすめします。

ライター

氏家祥美(うじいえよしみ)

ファイナンシャルプランナー

ハートマネー代表

お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。

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