保険お役立ちコラム
女性向けのがん保険は、通常のがん保険に加えて、女性特有のがんの保障を上乗せしたがん保険です。乳がん、子宮がん、卵巣がんなど女性特有のがんの特徴や罹患率などから、女性向けのがん保険の必要性や選び方について解説します。
この記事でわかること
- 女性向けのがん保険とは、女性特有のがんを手厚く保障するがん保険のこと
- がんの中でも女性特有のがん(乳がん、子宮がん、卵巣がんなど)にかかる割合が高い
- 年齢が上がるほどがん罹患率も上がることや治療費以外の費用がかかるため、備えは大切
- 女性向けのがん保険を選ぶときには、上乗せされる給付金の細部にまで注目すること
目次
女性向けのがん保険とは
女性向けのがん保険は、女性特有のがんを手厚く保障するがん保険のことです。主な女性特有のがんには、乳がん、子宮がん、卵巣がんがありますが、そのほかにも胎盤や膣、外陰部など女性特有の部位にできるがんが含まれます。
通常のがん保険との違い
女性向けのがん保険では、通常のがん保障に上乗せする形で、女性特有のがんになった場合に受け取れる給付金が用意されています。
給付金の内容は保険会社によっても異なりますが、「女性がん診断給付金」「女性がん入院給付金」「女性がん手術給付金」「乳房再建給付金」などがあります。
より手厚く備えられることから、通常のがん保険よりも保険料は高めに設定されています。
女性特有のがんと罹患率
全国がん登録罹患データより、女性に多いがん(上皮内癌を除く)を部位別に調べたところ、乳がんが全体の22.2%で最も多くなりました。このほか、子宮がんが6.9%と全体の5位に、卵巣がんが3.1%で8位になっています。
女性にとっては、がんの中でも女性特有のがんにかかる割合がとても高いことがわかります。
図表1「女性の部位別のがん罹患割合(上皮内がんを除く)」
- ※ 参照 厚生労働省「令和2年 全国がん登録 罹患数・率報告(2020)」p16 図2
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001231386.pdf
乳がん
乳がんの罹患率は、30 代前半から急増し、45から49歳で最初のピークを迎えます。その後やや減少して、65から69歳で2回目のピークを迎えたあとはゆるやかに減少します。
乳がんは乳腺の組織に広がるがんで、多くは乳腺から発生します。進行するとがん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパの流れなどにのって転移することもあります。
なお、ごく稀ですが、男性が乳がんになることもあります。
- ※ 参照 厚生労働省「令和2年 全国がん登録 罹患数・率報告(2020)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001231386.pdf
子宮がん
子宮がんは、女性の部位別がん罹患率で5番目に多くなっています。
子宮がんの罹患率は、乳房より更に増加する年齢が低く、20代後半から緩やかに増加していき、55から59歳でピークを迎え、緩やかに減少していきます。
子宮は、妊娠したときに胎児を育てる器官です。上部にある袋状の子宮体部と、子宮の入口にあたる子宮頚部からなっています。そのため、子宮体部にできるがんを「子宮体がん」、子宮頸部にできるがんを「子宮頸がん」と、分けて呼ぶこともあります。
- ※ 参照 厚生労働省「令和2年 全国がん登録 罹患数・率報告(2020)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001231386.pdf
卵巣がん
卵巣がんは、女性の部位別がん罹患率では8位です。1位の乳がんや5位の子宮がんよりは少ないものの、全体で見ると罹患率は上位にあります。
卵巣は、子宮の両側にある親指ほどの大きさの器官で、卵子の生成、成熟、排卵や性ホルモンの分泌などを行います。卵巣がんはこの卵巣に発生する悪性腫瘍です。
その他の女性特有の部位にできるがん
乳がん、子宮がん、卵巣がん以外にも、膣がん、外陰がん、胎盤を作る絨毛細胞にできる絨毛がん、子宮の組織からできる子宮肉腫など、女性ならではのがん部位にできるがんは女性特有のがんに含まれます。
女性向けのがん保険が必要な理由
女性特有のがんは、通常のがん保険でも保障されます。つまり、通常のがんと同じ保障があれば十分と思うのであれば、女性向けがん保険は必要ないことになります。
では、なぜ女性向けのがん保険があるのでしょうか。その必要性を考えていきましょう。
年齢が上がるほどがん罹患率も上がる
すでにお伝えしたとおり、乳がんの罹患率は30代前半から、子宮がんの罹患率は20代後半から増加を始めます。そのため、ほかの一般的ながんに比べると、比較的若いうちから罹患に備えて保険で入院や治療にかかるお金を準備しておく必要があります。
その後も、年齢が上がるにつれて罹患率は上昇していきますから、20代や30代の方も、40代以降の方も保険で備えておくといいでしょう。
がん治療でかかるのは治療費だけではない
公的医療保険には、1ヶ月あたりの医療費を一定の範囲内に収めるための「高額療養費制度」があります。そのため、「高額療養費制度があるし、そんなに保障を手厚くしなくてもいいのでは」と考える方もいることでしょう。
しかし、がん治療にかかるお金は、検査費用、診察費用、入院費用、手術費用、薬代だけではありません。それ以外にも、こんな費用が掛かる可能性があります。
- 【治療費以外にかかるお金】
- ●病院までの交通費
- ●診断書や証明書の作成代
- ●入院時の個室代や差額ベッド代
- ●入院時の食事代
- ●乳房切除後の再建術代
- ●専用の下着、ウィッグ代
- ●家事や育児を外注する際の家事代行、ヘルパー、ベビーシッター代など
例えば、ウィッグ代や乳房再建術費用は、命を救うための治療費ではありません。再び明るい気持ちを取り戻して暮らしの質を高めるためには必要であっても、家計からまとまった費用を出しにくいと感じる場合もあるでしょう。
そんなとき、保険会社から給付金がそれ専用のお金として上乗せ支給されれば、気分的に使いやすくなるのではないでしょうか。
退院したあとも、すぐに元通りの暮らしに戻るのは体力的にもきついものです。給付金が上乗せ支給されていれば、ホームヘルパーやベビーシッター代としても使いやすくなります。
女性向けのがんの上乗せは、必ず必要というわけではありませんが、あればいろんなシーンで役に立ちます。
女性向けのがん保険加入が特におすすめの方
女性向けのがん保険は多くの女性にとって役に立ちますが、こんな方には特におすすめです。
遺伝的な要素で心配がある
がんそのものは遺伝する病気ではありませんが、がんになりやすい体質が遺伝する可能性はあります。例えば、親戚に乳がん患者が何人もいれば、自然と自分も乳がんになるかもしれないと心配になるでしょう。
そんな不安に応える意味でも、女性向けのがん保険で備えることは意味があるでしょう。
まとまったお金がない
自由に使えるまとまったお金がある場合は、治療費やウィッグ代も、収入が減った場合の生活費も預貯金から賄えます。しかし、手元にまとまったお金が無ければ、公的医療保険の自己負担分を払うだけでも精一杯になるでしょう。
治療の選択肢を広げたい、治療後の暮らしに余裕を持ちたいとおもったら、上乗せの保障があると安心です。
女性向けのがん保険で受け取れる主な給付
女性向けのがん保険で、通常のがん保険の給付金に上乗せして受け取れる給付の内容を確認しておきましょう。
なお、保険会社ががん保険のプランによって、保障に含まれる給付金の内容は異なります。一つの参考としてください。
女性がん診断給付金
女性特有のがんと診断されたときに、まとまった一時金を受け取れます。通常のがん診断給付金に上乗せして受け取れるので、女性特有のがんになったときには、より手厚い保障を得られます。
なお、女性がん診断給付金が特約としてついている場合、その支給金額に加えて、次の2点を確認しておきましょう。
(1)がん診断給付金の受け取り回数
保険期間を通じて1回のみ、2年に1回のみなど、回数の制限が付くことがあります。
(2)上皮内新生物でも診断給付金を受け取れるか
がん診断給付金の対象に上皮内新生物を含む場合と、支払い対象外とする場合、減額して支払う場合があります。
女性がん入院給付金
女性特有のがんの治療で入院したときに、通常のがん入院給付金に上乗せする形で受け取れます。1日あたり5,000円から1万円程度で設定されることが多くなっています。
ほとんどの場合、給付金の受け取り回数は無制限のため、長期入院に備えやすくなっています。
女性がん手術給付金
女性がん手術給付金は、乳房切除、子宮摘出、卵巣摘出など、女性の特定のがんの手術をしたときに受け取れる給付金です。全摘出のときに支払う場合もあれば、一部切除や一部摘出でも対象になる場合もあります。
対象となる手術の範囲や利用できる回数などは、保険会社によって異なるので、事前によく確認しておきましょう。
乳房再建給付金
乳房再建手術とは、乳がんの手術によって失われたり変形したりした乳房をできる限り取り戻すための手術です。乳房再建手術は、乳房再建手術を受けた場合に受け取れる給付金です。
乳房再建を行うことで、乳房の喪失感が少しでも軽くなり、暮らしの質が高まることを目指します。
抗がん剤治療給付金
女性特有のがんに限った保障ではありませんが、抗がん剤治療給付金は、がん治療の一環として、所定の抗がん剤治療を受けた場合に受け取れる給付金です。
抗がん剤治療は通院しながら受けることが多いため、入院給付金と手術給付金が中心のがん保険では、保障を受けられない可能性があります。
がん先進医療給付金
がん先進医療給付金は、がんの治療で先進医療を受けた場合にその技術料相当額が受け取れる給付金です。女性特有のがんに限った保障ではありません。
先進医療を受けた場合、通常の検査・診察・投薬・治療にかかる部分には公的医療保険が使えますが、先進医療の技術料にあたる部分には、公的医療保険が使えず全額が患者の自己負担になります。
がん先進医療特約を付けているとその技術料相当額が保障されますが、その契約内容によって上限が設けられています。
女性向けのがん保険の選び方
女性向けのがん保険を選ぶときには、上乗せされる給付金の細部にまで注目して選びましょう。
手厚くなる給付金の内容を確認する
女性向けを謳っているがん保険の保障内容は、保険会社や契約プランによって異なります。
通常のがん保険に、特約として女性向けのがんの給付金を付加して保障を手厚くし、女性向けのがん保険としているものが主流ですが、がん診断時、入院時、手術時など、どの部分の保障を手厚くしているのかに注目しましょう。
給付金の受け取り回数を確認する
給付金を何回受け取れるのか、回数もよく確認しておくことが大切です。
女性がん診断給付金や女性がん手術給付金は、まとまった金額を一度に受け取れるところに魅力があります。しかし、ただ給付回数は1回限りということもあります。
一方、女性がん入院給付金は、1回の給付金額は高額ではないものの、受け取れる日数や回数は無制限であることが多くなっています。
手厚くなる給付金の保障内容と合わせて、受け取り回数も確認しておきましょう。
上皮内新生物を含む保障を選ぶ
上皮内新生物は、変異した細胞が粘膜の上部にとどまっている初期段階のがんを指します。この状態で治療をすれば、転移の可能性がほとんどないため、悪性新生物とは分けて考えられています。
がん保険によって、上皮内新生物に対してもがんと同額を支払うもの、減額した給付金を支払うもの、保障の対象から外すものもあります。
上皮内新生物でも同様に保障を得たければ、上皮内新生物も保障されるがん保険を選んでおきましょう。
女性向けのがん保険への加入を検討する際のポイント
女性向けのがん保険の特徴と選び方がわかったら、さらにこんな点にも注目してみましょう。
若いうちにがん保険の加入を検討する
乳がんは30代前半、子宮がんは20代後半から増加していきます。ほかのがんよりも若いうちからかかる可能性が高いため、まだ若いからとあと送りせず、早めに加入を検討しましょう。
保険料と家計のバランスをよく考える
がん保険の保険料は、無理なく支払い続けられる金額でしょうか。保障内容が素晴らしくても、家計にとって負担が大きすぎれば続けられなくなる可能性があります。
がん保険とその他の加入中の保険の保険料の合計金額と、家計のバランスを確認しましょう。
自分が受け取れる公的保障を確認する
公的医療保険には、高額療養費制度があるため、がんになっても健康保険が適用される標準治療であれば、1ヶ月あたりの医療費はその自己負担限度額が目安となります。
そのほか、公的医療保険が利用できない差額ベッド代や、入院中の食費の自己負担額、さらには、入院中や退院後の療養中、普段とは暮らしが変わることで自分や家族のために必要となる費用をがん保険で備えておきましょう。
女性特有のがんの罹患率は30歳前後から高まる。保険の備えはお早めに
女性向けのがん保険は、乳がんや子宮頸がんなど女性特有のがんへの保障を上乗せしたがん保険です。一度がんになってからでは保険への加入が難しくなります。
女性向けのがん保険には、上乗せされる保障内容を詳しく確認したうえで、早めに加入を検討しましょう。
- ※ 当記事は著者個人の見解・意見によるものです。
- ※ 当記事の内容は作成日現在公表されている情報や統計データ等に基づき作成しており、将来予告なく変更されることがあります。
- ※ 当記事で書かれている保険の内容には、アクサのネット完結保険では取り扱いのない商品や手続きがございます。
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- ※ 当記事を参考にご加入中の生命保険の見直し・解約をされる際には、以下3点にご留意ください。
- ① 一度解約した生命保険契約はもとには戻らないこと。
- ② 解約返戻金は解約するタイミングによって、払込保険料の合計額よりも少なくなる場合があること(解約返戻金がない保険商品もあります)。
- ③ 健康状態によっては新たに保険に加入できなかったり、加入できても保険料の増加や一部の保障が対象外になるなど特別条件付きの契約となる場合もあること。
- ※ 個別の税務等の詳細については税務署や税理士等、専門家にご確認ください。
ライター
氏家祥美(うじいえよしみ)
ファイナンシャルプランナー(AFP)
ハートマネー代表
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
2005年からFP相談を始める。
日々お金のことを考えなくても安心な
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大学の非常勤講師として金融リテラシーを普及するほか、
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