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保険お役立ちコラム

生命保険(死亡保険)の目的や年代・ライフステージ別の選び方、税金・相続対策のポイント

更新日:2023/04/21

※本記事についてのご注意

生命保険は「死亡」「病気・ケガ」「老後」「介護」などのリスクや不測の事態に対し、公的保障や貯蓄ではまかないきれない部分を補うために備える方法の1つです。生命保険に加入しておいた方が良いのか迷っている方や、結婚や住宅購入などのライフイベントをきっかけに生命保険に加入しようと考えている方などへ、生命保険の目的やライフステージ別の生命保険の選び方などを解説します。

まずは生命保険の目的、生命保険の種類などから説明していきましょう。

生命保険の目的

「ヒト」にかかわるリスクに備える保険を生命保険といいます。

生命保険はその目的によっていくつかに分けられますが、その中でも保険の対象者(被保険者)が死亡または高度障害状態になった場合に、家族の生活費を保障するための保険を死亡保険といいます。

働き盛りの人が亡くなると、収入が減って経済的に大きなダメージが生じます。また、親の介護や子どもの世話をしている人が亡くなると、家事や子育て、介護等を外注する必要が生じて新たな支出が増えるでしょう。死亡保険では、こうした死亡による経済的なリスクに備えることができます。

生命保険の種類

生命保険会社のみが取り扱う生命保険には、死亡保険以外にも養老保険などの生死混合保険・個人年金保険などが含まれる生存保険があります。

●死亡保険

被保険者が死亡または高度障害状態になった場合の家族の生活費を保障

●学資保険

子どもが被保険者、親が契約者となり、子どもの教育資金を準備する保険

●養老保険

保険期間内に死亡したら死亡保険金、保険期間満了時に生存していた場合、満期保険金を受け取れる。死亡保障とともに、満期保険金による貯蓄ができる保険

●個人年金保険

老後資金を準備する保険

また、生命保険会社と損害保険会社の両社が扱うことのできる第三分野の保険は、主に医療保険・がん保険・就業不能保険(損害保険では所得補償保険)などがあります。

●医療保険

病気やケガによる入院・手術等の出費に備える保険

●がん保険

がんによる入院・手術等の出費に備える保険

●就業不能保険

病気やケガにより働けなくなった間の収入減少に備える保険

生命保険に加入できる方

生命保険は、誰でもいつでも加入できるというわけではありません。生命保険は加入者全員で公平に保険料を負担しあい、万が一の際には保険金・給付金を受けとれる仕組みです。そのため、保険の加入にあたっては仕事内容や健康状態について告知をしたり医師の診査を受けたりする必要があります。そのうえで保険会社が加入できるかの引き受け審査を行います。審査内容は保険商品などによって異なり、健康状態によっては希望する保険に加入できない場合もあることを覚えておきましょう。

80%以上の人が生命保険に加入している

生命保険の世帯加入率は89.8%と高い水準にあります。生命保険の加入率は年齢が上がるにつれて増加し、50代でピークを迎えると、80代以降は減少する傾向にあることが分かります。注目ポイントは、29歳以下の70.2%でしょう。若いうちは死亡のリスクは低いとはいえ、その影響が大きいことを認識している方も多いといえます。

図表1「生命保険・個人年金保険の世帯加入率(全生保)[世帯主年齢別]」

  • ※ 2021年(令和3年)度のデータ
  • ※ 第Ⅰ部 生命保険の加入実態 1.生命保険(個人年金保険を含む)の加入状況 のデータを元に筆者が独自に作成
図表1「生命保険・個人年金保険の世帯加入率(全生保)[世帯主年齢別]」
  • ※ 全生保は民保(かんぽ生命を含む)、簡保、JA、県民共済、生協等を含む
  • ※ 90歳以上はサンプルが30未満
  • ※ 参考 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
    〈図表Ⅰ-3〉生命保険・個人年金保険の世帯加入率(全生保)(世帯主年齢別)
    https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/p003-043.pdf

保険商品は、一般的に「主契約」と「特約」の組み合わせで成り立っています。保険を木に例えると、主契約は太い幹の部分、特約は枝葉の部分になります。特約は後からカットすることもできますが、主契約なしに特約のみの契約はできません。また、主契約が満期や解約で終了すると、特約も消滅します。

死亡保険を主契約として「医療保障」や「がん保障」など生前給付の特約を付けられる保険商品もありますが、必要保障額を計算して死亡保障が不要になっても、主契約だけをカットすることはできないので注意しましょう。長寿化に伴い、医療保険に別途加入するほうが合理的と考える方も増えています。

生命保険の保険料について、計算の仕方や内訳はどのようになっているのでしょうか。

保険料の計算

保険はもともと「相互扶助」の精神から生まれた加入者同士が助け合う仕組みです。加入者があらかじめ公平に負担しあった保険料をもとに、その中の誰かに支払事由が発生したときに保険金や給付金が支払われます。

相互扶助の精神に基づいた生命保険には、収入と支出が等しくなる「収支相当の原則」というルールがあります。契約者から集めた保険料(保険料×契約者数)による収入は、保険金(保険金額×死亡者数)として支払う支出と等しくなるように計算されています。

以下のような条件を例に挙げて、1人分の保険料を計算してみましょう。

【条件】

  • ・同じ年齢の男性100人が同じ保険に加入
  • ・死亡保険金は1人100万円
  • ・保険料は同額とする
  • ・その年齢の死亡率は1%

【保険料の計算(例)】
死亡率1%より、保険会社は100人中1人の死亡を想定し、保険金100万円の支払い予定を立てておきます。保険料はAとし、次のように算出されます。

図表2「収支相当の原則による保険料の計算(例)」

(保険料×契約者数)=保険金額×死亡者数
    (A×100人)=(100万円×1人)
       100A=100万円
         A=1万円(1人分の保険料)

保険料の内訳

保険料の原則はいたってシンプルですが、保険会社や加入する人の年齢・性別によって保険料が異なるのはなぜでしょうか。保険料の内訳から考えてみましょう。保険料は大きく分けて「純保険料」と「付加保険料」の2つから成り立っています。

(1)純保険料

純保険料とは、「予定死亡率」「予定利率」を用いて計算した保険料で、保険会社が将来的に支払う保険金に備えて積み立てている財源です。

・予定死亡率
過去の統計をもとに年齢・性別ごとの死亡率を予測したうえで計算します。同じ年齢でも女性のほうが死亡リスクは低いというデータがあれば、保険料は女性のほうがお手頃になります。このようにして、同じ保険にさまざまな年齢や性別の人が加入しても公平となるように考慮されています。

・予定利率
保険会社が保険料を運用することによって、どれぐらいの利益が見込めるか仮定したうえで、保険料を計算します。いわゆるバブルの時期に契約した保険がお宝保険といわれるのはこのためです。世の中の金利が高い時期には予定利率も高いため、そこから逆算すればお手頃な保険料で大きな保障が得られます。予定利率は基本的に契約時に決まり、途中で変更されません。

(2)付加保険料

付加保険料とは、保険会社が保険業を経営するために必要な費用です。付加保険料の計算には、「予定事業費率」が用いられます。

・予定事業費率
テレビCMなどにかかる広告宣伝費、社員の給与や保険代理店に支払う手数料、営業所の維持管理など、保険会社が保険業を運営するうえで必要なさまざまな経費が含まれます。

付加保険料は2006年より原則自由化となったため、各社の規模や経営方針、サービス体制などによって大きな違いが出る部分です。ネット生命保険会社は、インターネット上を主な営業拠点とするシンプルな体制のため、店舗運営や営業にかかるコストが抑えられます。そのため、付加保険料が低く抑えられる傾向があります。

生命保険を選ぶ際、どの年代でも、どのライフステージにおいても大切なのは「生命保険に加入する目的を定める」ことです。目的が定まっていないと、自分のニーズとは異なる商品に加入してしまったり、必要な保障を付けなかったりなど保障内容に過不足が生じる原因となります。

「入院や手術に備えておきたい(医療保障)」「自分の葬式代くらいは準備しておきたい(死亡保障)」「出産時の緊急帝王切開に備えたい(女性専用特約)」など、生命保険に対する必要としている保障目的を定めておきましょう。

こちらもぜひご覧ください。

年代によって、発生が予想されるライフイベントや罹患しやすい病気などが異なるため、必要な保障も変わってきます。ここでは年代別の生命保険の選び方を解説します。

20代の生命保険の選び方

20代は、就職したばかりの方や学生も多い年代ではないでしょうか。結婚や出産などのライフイベントを迎える方もいるでしょう。
しかし、将来の病気やケガに備える医療保険には、男女ともに独身のうちから加入しておきましょう。

特に女性の場合は、将来の妊娠・出産や女性疾病に備えて、女性専用の保障が付いている医療保険を選ぶことをおすすめします。結婚や出産のタイミングで、死亡保障も備えておきましょう。

30代の生命保険の選び方

30代の生命保険への加入率は30~34歳が90.7%、35~39歳が89.4%です。20代よりも30代の加入率が高くなっているのは、仕事に加えて結婚・出産などのライフイベントが重なることが多いためでしょう。
医療保険に加えて、万が一自分に何かあった場合に家族の生活費を保障する死亡保険に加入する人が増加します。

特に女性の場合は、妊娠や分娩時のリスクや女性疾病にも備えられる女性専用の特約が付いた医療保険を選ぶことをおすすめします。

40代の生命保険の選び方

40代はまさに子育て真っ盛りな方も多いでしょう。住宅ローンの返済や仕事と子育ての両立、更年期などによる体調の変化が始まるなど、なかなか多忙な年代です。

生命保険への加入率を見てみると、40~44歳が93.2%、45~49歳が94.0%です。40代は多忙なうえに、体調の変化や不調の自覚症状がある人が多いことから、生命保険への加入率も高くなっているといえます。

40代ですでに死亡保険に加入中の場合には、働けなくなったときの収入減少に備える保険への加入や、医療保障を手厚くすることをおすすめします。

50代の生命保険の選び方

生命保険への加入率は、50代が最も高くなっています。50~54歳が93.0%、55~59歳が94.8%です。50代は仕事や子育てなど体力的に一番大変な時期は過ぎたものの、子どもの大学進学で教育費の負担が大きくなるご家庭が多いのではないでしょうか。また、女性では更年期を迎えて体調が目まぐるしく変わる方、親の介護が始まる方も多い年代です。

なかにはすでに子どもが巣立ち、生活環境が変わる方もいるかもしれません。子育てが終われば、子供に生活費や教育費を遺すための手厚い死亡保障は不要になるため、保険料を見直すタイミングです。そろそろ自分たちの老後資金について考えたり、がんや脳卒中などの大きな病気に備える保険商品を検討したりすることをおすすめします。

60代の生命保険の選び方

60代の生命保険加入率は、60~64歳が92.4%、65~69歳が93.8%です。60代は仕事が一段落する方も多く、人生のセカンドステージに入る年代です。また、3大成人病への罹患率がさらに上がるため、体調的には50代よりも変化を感じる方も多いでしょう。

自身の老後の生活資金、病気やケガなどへの備えを中心に生命保険を選びたいところです。

各年代の生命保険加入率は生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」を参照しています。

  • ※ 参考 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
    第Ⅰ部 生命保険の加入実態
    1.生命保険(個人年金保険を含む)の加入状況
    〈図表Ⅰ-3〉生命保険・個人年金保険の世帯加入率(全生保)(世帯主年齢別)
    https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/p003-043.pdf

必要保障額は、ライフステージの変化に伴って変動します。ライフイベントごとに必要保障額がどのように変動するか、例を挙げてみます。

結婚

医療保険には独身のうちからの加入をおすすめしますが、未加入の方は結婚を機に検討するとよいでしょう。

女性の場合は将来の妊娠・出産に備えて、妊娠前に医療保険に女性疾病特約の付加を検討しましょう。出産時の異常分娩、帝王切開だけでなく子宮筋腫や乳がんなど女性特有の疾病による入院・治療の保障を手厚くしましょう。

また、独身のうちは親を養っていなければ、お葬式代を備える程度で構いませんが、結婚すると万が一の際に配偶者の生活を支えるお金が必要になります。そのため、「死亡保障」を検討することをおすすめします。すでに加入中の死亡保険は、保険金の受取人を親から配偶者に変更しておきましょう。

出産

子どもが産まれると、子どもの独立までの教育費や養育費が加算されるので、必要な保障額は上がります。また、子どもの数が増えるたびに、必要保障額は上がっていきます。出産前後に検討したいのは「死亡保障」または「保険金額の増額」、そして「学資保険」です。

住宅購入

住宅を購入すると、ほとんどの人が住宅ローンを組んで団体信用生命保険に加入します。この場合、住宅ローンを支払っている方に万が一のことがあっても、住宅ローンは団体信用生命保険によって返済されるため必要保障額が減少します。

反対に賃貸の場合は、万が一の場合もその先の家賃がまかなえるよう、必要保障額を多く見込んでおく必要があります。住宅を購入する際にローンを組んだ場合は、加入中の保険金額の減額を検討するのもよいでしょう。住宅ローンの完済時の家族状況や、そのときに保障をどのようにするかということも想定しておくと安心です。

子どもの成長と独立

子どもの成長に伴って、子どもの独立までにかかる生活費や教育費の総額は減っていきます。これは、必要保障額も子どもの成長に伴って徐々に減っていくことを意味します。

また、子どもが独立した後は、子どもにかかる支出は基本的になくなると考えられます。子育て後に目を向けたいのは「自分の医療保障」「老後資金の準備」です。年齢とともに上がる病気やケガのリスクに備える「医療保険」や「がん保険」、老後生活資金への不安がある方は「個人年金保険」への加入を検討しましょう。

老後

老後については、相続のことも考慮しておきましょう。例えば、資産が預貯金だけの場合には、納税資金が足りなかったり、相続人の分割が不公平になったりする可能性があります。そのような場合には、必要額を保険で補う必要が出てきます。老後資金に余裕がある方で相続対策を希望する場合は、「養老保険」や「定期死亡保険」などへの加入を検討してみましょう。

下記のグラフは必要保障額を表しています。あくまで一例ですが、子どもが生まれると将来の生活費や教育費がぐんと増えるので必要保障額が増え、第二子の誕生でさらに増額します。その後、住宅ローンを組んで団体信用生命保険に入った場合には必要保障額は減額できます。

子どもの誕生でピークとなった必要保障額は、子どもの成長に伴って減っていき、貯蓄を増やせれば必要保障額はそのぶん下がっていきます。

(5)老後

このようにライフステージが変化するときは必要保障額が大きく変化するため、保険の見直しを考えるよいタイミングとなります。

死亡保険の概要

医療保険や介護保険の支払事由が保険会社によって細かく異なるのに対して、死亡保険の支払事由は各社共通でシンプルです。保険対象者(被保険者)が病気や災害により「死亡」または「高度障害状態」になった場合、あらかじめ指定していた受取人に死亡保険金または高度障害保険金が支払われます。

高度障害保険金の受取対象となる高度障害状態とは下記の通りです。

  • ●両眼の視力を全く永久に失ったもの
  • ●言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
  • ●中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障がいを残し、終身常に介護を要するもの
  • ●両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • ●両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • ●1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
  • ●1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

死亡保険金の平均額

生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査」(二人以上の世帯調査)によると、世帯の死亡保険金額(全生保)の平均は、2,027万円となっています。世帯主の年齢別に見た世帯死亡保険金額は、「44~49歳」の死亡保険金額が最も高く「2,980万円」となっています。

図表3「世帯普通死亡保険金額(全生保)(世帯主年齢別)」
※2021年(令和3)年度のデータ
世帯主年齢 死亡保険金額
29歳以下 1,745万円
30~34歳 2,516万円
35~39歳 2,525万円
40~44歳 2,714万円
45~49歳 2,980万円
50~54歳 2,296万円
55~59歳 2,312万円
60~64歳 2,033万円
65~69歳 1,478万円
全体 2,027万円

死亡保険のみ付けられるリビング・ニーズ特約

リビング・ニーズ特約は、死亡保険だけに付けられる特約です。

この特約が付加された契約の場合、余命6ヶ月以内と判断されたときにリビング・ニーズ保険金として主契約の死亡保険金の一部または全額が生前給付金として支払われます。

この特約は、無料で付けられます。なお、給付金の使い道に決まりはありません。

生命保険のなかでも死亡保障を目的とする死亡保険にはさまざまなタイプがありますが、基本形としては保険料が「掛け捨て型」と「貯蓄性のあるもの」の大きく2つに分かれます。

掛け捨て型

(1)定期保険

定期保険は、期間を定めて加入する死亡保険です。保険期間中のどの時点で亡くなっても死亡保険金が受け取れますが、期間を1日でも過ぎると保険金は支払われません。

また、生存していた場合に受けとれる満期保険金もありません。そのぶん保険料が低く抑えられるため、少額で多くの保険金を準備できる「保障機能」が優れています。

なお、定期保険は保険期間に応じて「全期型」と「更新型」に分けられます。

・全期型
保険が必要な全期間を通して保険契約を結びます。保険期間中、ずっと保険料が変わりません。例えば30歳から65歳まで全期型で保険契約を結べば、加入当初から65歳まで一定の保険料を支払い、保険金額も変動しません。

全期型

・更新型
10年ごとなど期間を区切り、契約を更新していく方法です。更新型のメリットは、全期型で加入するのと比べて、加入当初の保険料が抑えられるところにあります。保険期間満了時には健康状態に関係なく、同じ保障内容と保障額で更新することができます(ただし、更新限度があります)。

更新型

更新型は更新を迎えるたびに保険料が上がっていきます。そのまま更新を続けると、ライフイベントが重なる時期に保険料が家計の負担となることがありますが、更新のタイミングで保障を小さく調整することで、保険料の上昇を抑えることもできます。

(2)収入保障保険

収入保障保険は定期保険の一種ですが、保険金の受け取り方に特徴があります。一般的な定期保険は保険金を一時金として受け取り、保険期間中どのタイミングで亡くなっても受け取れる保険金は一定です。

それに対して、収入保障保険は亡くなってから毎月(あるいは毎年)、一定額の保険金を受け取っていきます。生前に給与を毎月家族に渡してきたように、万が一のことがあった場合にも家族の収入を保障できることから収入保障保険といいます。収入保障保険には、遺された家族にとって保険金を生活費として活用しやすいというメリットがあります。

なお、万が一のことがあったときから保険期間中の残年数分の保険金を受け取るため、亡くなる年齢が遅いほど最終的に受け取る保険金の総額が減少することには注意が必要です。

(2)収入保障保険

商品によっては、保険期間満了の直前(例えば1年前)に万が一のことがあっても、そこから5年間、あるいは2年間など一定の期間は年金が受け取れる「年金支払保証期間」を設定できる商品もあります。

掛け捨て型の特徴と注意点

掛け捨て型の特徴は、貯蓄性が無く、保険料がお手頃なことです。そのぶん、大きな保障を備えやすくなっています。

例えば、子育て世帯の場合、子どもが無事に成長して独立するまでの保障が必要となるため、子どもがいない夫婦よりも必要保障額が大きくなる傾向があります。この場合、保険料がお手頃な掛け捨て型の保険を利用することで、家計への負担を抑えながら必要な保障を備えることができます。

定期保険の中で保険料を比較すると、更新型は全期型と比べると当初の保険料が安くなる傾向にあります。ただし、更新を迎えるたびに保険料が上がるので、同じ期間加入した場合にはトータルの保険料が高くなることがあります。すでに住宅を所有していて、毎月の生活費と子どもの教育費など生活に必要な額や期間の目安がわかっていれば、毎月(毎年)一定金額ずつ保険金を受け取れる収入保障保険で備えるほうが合理的でしょう。

掛け捨て型の保険の注意点としては、貯蓄性はないため生存時にお金が戻らないことです(※1)。保障にお金をかけないぶん、生存時のライフイベント(教育や老後など)のための貯蓄は別の方法で行う必要があります。

  • ※1 長期平準定期保険や逓増定期保険など一部の定期保険を除きます。

貯蓄型

(1)終身保険

終身保険は、保障が一生涯続く死亡保険です。いつ支払事由が発生しても保険金額が変わりません。満期はありませんが、必ず死亡保険金を受け取れることや、途中で解約した場合には解約返戻金を受け取れる場合もあり、「貯蓄機能」に優れています。保険料の支払いが一生涯続くタイプ(全期払い)と、例えば60歳までの一定期間に一生涯分の保険料を支払い終えるタイプ(短期払い)があります。高齢になっても保障が続くため、相続対策にも活用されます。

(2)養老保険

養老保険は、一定の保険期間が定められており、満期時に生存していれば満期保険金が受け取れます。保険期間中に支払事由が発生した場合には、満期保険金と同額の死亡保険金または高度障害保険金を受け取れます。また、保険期間中に中途解約した場合には、解約返戻金が受け取れます。貯蓄性の高い保険であることから、満期の時期の設定をライフイベントに合わせて教育資金や老後資金準備として活用されます。

貯蓄型の特徴と注意点

貯蓄型の保険の特徴は、中途解約時に解約返戻金が受け取れることです。普通預金だとなかなかお金を貯められない方でも、終身保険や養老保険を使って貯蓄ができます。

養老保険は、加入の際に設定した満期時に満期保険金を受け取れます。終身保険の場合は満期がないため、通常は亡くなったときに死亡保険金を受け取りますが、中途解約して解約返戻金を受け取り、老後資金などとして活用することもできます。

また、相続対策として一生涯保障を持ち続けることもできます。解約返戻金を低めに設定することで、保険料をよりお手頃にしている低解約返戻金型の終身保険もあります。貯蓄型の保険は目的に合わせて選ぶとよいでしょう。

注意点としては、養老保険は満期になると保障が消滅し、原則的に更新はできないことです。保障が必要な場合、別の保険商品を新たに契約することになりますが、健康状態によっては加入できないことや、加入はできても条件が付くことがあります。中途解約をする場合には、タイミングによって解約返戻金が払込保険料を下回り、元本割れとなってしまうことがあります。保険期間中に保険料が無理なく支払えるかどうかをしっかり確認しましょう。どうしても払い込みを続けることができない場合、解約以外の方法「払済保険」や「延長保険」も検討してみましょう。

同じ保障に対して保険料がお手頃なのは掛け捨て型で、貯蓄性があるぶん保険料が高いのが貯蓄型です。どちらを選んだほうがよいかは、保険料だけではなく、ほかの貯蓄とのバランスやライフイベントによって見直しも考慮に入れる必要があります。

死亡保険はどんなタイプを選び、どのような保障を設定したらよいのでしょうか。さまざまなポイントから考えてみます。

必要保障額から考える

必要な死亡保障の大きさは、一人ひとり異なります。万が一のことが起こった際に、いくら必要かをあらかじめ考えて「必要保障額」を計算しておくと、合理的に保険に入ることができます。

図表4「必要保障額の考え方」

支出見込額

支出見込額

収入見込額

収入見込額

必要保障額は、いざというときに必要となる「支出見込額」から、予想できる「収入見込額」を差し引き、「不足額」を生命保険で用意するという考え方になります。

次に、必要保障額の計算方法を順番に解説します。

(1)末子独立までの遺族の生活費

現在の生活費をもとに、末子独立までにかかる遺族の生活費を計算します。末子が独立するまでの生活費は、現在の生活費(消費支出)の70%程度と考えます。

「現在の年間生活費×70%×(末子独立時年齢-末子の現在年齢)」

(2)末子独立後の配偶者の生活費の計算

末子の独立後、配偶者が1人で平均余命まで生活するための費用を計算します。現在の生活費(消費支出)の50%程度と考えます。

「現在の生活費×50%×末子独立時の配偶者の平均余命」

なお、主な年齢の平均余命は、図表5をご覧ください。

図表5「主な年齢の平均余命」
男性 女性
30歳 52.09年 58.03年
40歳 42.4年 48.24年
50歳 32.93年 38.61年
60歳 24.02年 29.28年
70歳 15.96年 20.31年
80歳 9.22年 12.12年
90歳 4.38年 5.74年

(3)別途必要資金の計算

子どもの教育資金や住居費用、車の買い替え費用、子どもの結婚援助資金など、人生におけるライフイベントにはまとまったお金が必要です。想定されるライフイベントを書き出して、万が一のことがあっても困ることの無いように大まかな費用を見積もっておきましょう。

(4)収入見込額

いざというときにも、あてにできる収入の見込額を計算します。「社会保障」「企業保障」「自己資金」「その他の収入見込み」「すでに加入している生命保険」をすべて足し合わせると、収入見込額がわかります。

それぞれの計算方法については後ほど詳しく解説します。

(5)必要保障額の算定

ステップ1からステップ4より、新たに加入すべき生命保険の必要保障額を計算することができます。

必要保障額(死亡保障の不足額の目安)
=末子独立までの遺族の生活費+末子独立後の配偶者の生活費+別途必要資金-収入見込額

収入見込額の計算

収入見込額を計算してみましょう。「社会保障」「企業保障」「自己資金」「その他の収入見込」「すでに加入している生命保険」をそれぞれ算出し、結果をすべて足し合わせると計算できます。各項目について順番に解説します。

(1)社会保障でもらえるお金

遺族に対しては、公的年金から「遺族年金」が支払われます。自営業者などは国民年金の加入者が亡くなると、遺族基礎年金が支払われます。一方、会社員や公務員など厚生年金の加入者が亡くなると、遺族基礎年金と遺族厚生年金が支払われます。

遺族基礎年金額は、18歳までの子どもの人数が年金額に大きくかかわります。遺族厚生年金は子どもの有無は関係なく、それまで収めた厚生年金額と厚生年金への加入期間が年金受取額に影響します。

支給月額については、図表6を参考にしてください。

図表6「遺族年金支給月額」

あなたのご職業:会社員【貴族基礎年金+貴族厚生年金】
あなたのご職業:自営業【貴族基礎年金】
  • ※ 平均標準報酬額とは平均年収を12で割ったものです。(平均年収は在職中(全期間)の平均の年収)
  • ※ 中高齢寡婦加算または経過的寡婦加算が付く場合があります。

なお、遺された家族が自身の老齢年金を受け取り始めると、遺族年金額は調整されます。

(2)企業保障でもらえるお金

勤務先によっては、亡くなった従業員への企業保障として死亡退職金や弔慰金が支払われることがあります。あらかじめ職場の規定を確認しておき、制度の有無や支給額について確認しておきましょう。

(3)自己資金

これまでに蓄えた預貯金やその他の有価証券などの時価を調べて金融資産の合計額を計算します。

(4)その他収入見込み

配偶者が仕事をしている場合や、いざという場合には就労するつもりでいる場合には、配偶者の収入が期待できます。子どもが小さいなどの理由ですぐには働けそうもないという場合には、配偶者の収入が無い分、死亡保障を多めに用意することになります。

(5)すでに加入している生命保険

「すでに加入している生命保険」がある場合、その保険金も収入として加算できます。

生命保険に加入すると、以下のように納税の負担が軽減されたり、納税義務が発生したりすることがあります。

保険料払込期間中の税金

生命保険料控除は、1年間に払い込んだ保険料の金額によって、所得税と住民税の負担が軽減される制度です。死亡保険などの保険料は「一般生命保険料控除」に分類されます。平成22年度の税制改革により、保険の契約日によって適用される制度が異なり、旧生命保険料控除制度(契約日が2011年12月31日以前の契約)か、新生命保険料控除制度(2012年1月1日以降の契約)のどちらかに該当するかで、それぞれの控除限度額が適用されます。

受け取り時の税金

死亡保険金、満期保険金、解約返戻金を受け取る際には税金がかかります。死亡保険金と満期保険金は、契約者、被保険者、保険金受取人を誰にするかによって、かかる税金の種類や支払う税額が異なります。保険の加入目的にあった加入ができているか契約時に確認しましょう。

・死亡保険金と税金(※1)
契約者
(保険料の負担者)
被保険者
(保障の対象者)
死亡保険金受取人
(お金を受取る人)
税金の種類
相続税
所得税 住民税
贈与税
・満期保険金と税金(※1)
契約者
(保険料の負担者)
被保険者
(保障の対象者)
満期保険金受取人
(お金を受取る人)
税金の種類
AまたはB 所得税 住民税
または20.315%の
源泉分離課税
AまたはB 贈与税
AまたはB
・個人年金保険の年金にかかる税金(※1)
契約者
(保険料の負担者)
被保険者
(保障の対象者)
年金受取人
(お金を受取る人)
税金の種類
AまたはB 所得税 住民税
AまたはB 1年目は贈与税
2年目以降は所得税・住民税
  • ※1 参照 生命保険文化センター「知っておきたい生命保険と税金の知識」(2022年4月改定版)をもとに筆者作成

相続での困りごととしてあげられることの多い、下記の3つのケースの対策にも保険が有効です。

相続税納付資金の準備

生命保険を活用して死亡保険金を遺すことで、相続税の納税が可能となります。相続税は相続開始から10ヶ月以内に申告と納税を行う必要があり、現金一括納付が原則です。万が一、不動産などの流動性がない資産に偏っていて税金を一括で支払うことができない場合は、相続財産を売却する必要がでてきます。遺族が遺された財産を売却しなくても済むように、生命保険で相続の準備をしておくとよいでしょう。

分割対策

例えば、子どもが複数いるにもかかわらず、相続財産が不動産など均等に分けにくい財産しかない場合、相続をした兄弟間で不満が生まれる原因になります。この場合、相続人の1人が法定相続分よりも多くの遺産を相続して、ほかの相続人には代わりに現金などを支払う代償分割という方法があります。代償分割を行うには、遺産を多く相続する相続人に、ある程度の資金が必要になります。多めに資産を相続する人を保険金の受取人にしておくことで、受け取った保険金から他の相続人に対する代償分を支払うことが可能になります。

相続税非課税枠の活用税対策

生命保険は遺された家族の生活のための資金ということから、受け取る人が法定相続人の場合は「500万円×法定相続人数」の金額が非課税となるように考慮されています。そのため、相続財産を計算する際に、同じ額を現金で持っているよりも課税対象額を抑えることができます。

仮に法定相続人が妻と子ども2人の計3人の場合には、「500万円×3人=1,500万円」が相続税の非課税財産となります。受け取る死亡保険金から引くことができるので、死亡保険金が2,000万円の場合には、「2,000万円-1,500万円(非課税分)=500万円」が相続税の課税対象となります。

いつどこで「万が一」がやってくるかわからないからこそ、その「万が一」にも備えておくのが、愛情だといえるかもしれません。ただし、今の暮らしが後回しになっては本末転倒です。「万が一」にはお手頃な費用で備えておくことが可能ですので、ご紹介した生命保険の選び方を参考に、自分や家族への保障を考えてみてはいかがでしょうか。

ライター

氏家祥美(うじいえよしみ)

ファイナンシャルプランナー

ハートマネー代表

お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。

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(実施日:2022年3月15日~2022年3月21日、配信数:13,986件、全回答数:1,821件:他社からの乗り換え加入者604件のうち、当該項目における有効回答者数520件)

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