保険お役立ちコラム
終身保険とは?メリットと注意点、選び方を紹介
公開日:2020/4/27
一生涯の保障を得られる終身保険は、貯蓄性があるのが特徴です。終身保険の活用法や注意点、選び方についてお伝えしていきます。
終身保険とは?
終身保険とは
終身保険は、死亡した場合や所定の高度障害状態になった場合を保障する終身タイプの保険です。そのため、葬儀費用の準備目的で利用されることの多い保険です。また、終身保険を途中で解約すると解約返戻金を受け取れるので、貯蓄機能に優れています。終身保険は、高齢になっても保障が続くため、相続対策にも活用されます。
終身保険のメリット
終身保険のメリットは、大きく3つあります。1つずつ見ていきましょう。
① 一生涯保障が続く
終身保険は、一生涯保障が続きます。何歳になっても保障で備えたい人にとっては、とても安心できる保険です。
② 貯蓄性がある
終身保険には、貯蓄性があります。保険を中途解約した時には、解約返戻金としてお金が支払われます。
③ 保険料が途中で上がらない
保険期間中の保険料は、加入時の年齢や健康状態を基に計算され、途中で上がることはありません。保障は一生涯続きますが、保険料の支払いは、支払いが一生涯続く「終身払い」と、一生涯分の保険料を一定の年齢までに払い終える「短期払い」から選べます。
後述しますが、相続の場面で終身保険はとても有効です。何歳に相続が発生するかは予測できないため、一生涯の保障が得られる終身保険は相続向きとも言えます。
- ※ ステップ払込方式など保険料が上がる払込方法も一部あります。
終身保険の注意点
終身保険には解約時に受け取れる解約返戻金があります。その原資となる積立金が保険料に含まれるため、掛け捨て型が多い定期保険(一部解約返戻金がある定期保険もあります)と比較して、保険料が高くなる傾向にあります。ライフスタイルが変化しても継続して支払える保険料であるかどうかを検討することが重要です。保険料が支払えずにやむなく解約する場合、加入後の年数によっては、解約返戻金が払い込んだ保険料を下回ることもあります。通常は契約年数が経過するほど、解約返戻金の返戻率は上がり、払込完了後は支払い済みの保険料の累計額を上回ることもあります。
貯蓄性が特徴の終身保険ですが、予定利率は保険期間中に変動しません。加入時の予定利率がそのまま据え置かれます。
- ※ 積立利率変動型終身保険など予定利率が変動する終身保険もあります。
終身保険の払込期間
保険料の支払いには、支払いが一生涯続く「終身払い」と、短期で支払いを終える「短期払い」があります。短期払いには、一生涯分の保険料を60歳まで、65歳までというように一定の年齢までに払い終える方法や、10年払込、15年払込というように支払い年数を決める方法があります。
終身払いを選ぶメリットは、1回あたりの保険料が短期払いよりもお手頃なことです。ただし、生存期間中はずっと支払いが続くため、長生きするほど保険料総額が増えていきます。
一方、短期払いは、1回あたりの保険料が終身払いよりも高くなる傾向がありますが、払い込みを終えて長生きするほどに、保険期間全体に対しての保険料総額が抑えられます。現役で働いている間に保険料の支払いを済ませておき、退職後もずっと保障を受けることができるので、老後の家計負担を軽減できるというメリットがあります。
また、払い込みが終わった後に保険会社による運用利回りが加算されるため、払い込んだ保険料総額に対しての解約返戻金が多くなるという利点もあります。
定期保険との違い
定期保険のなかにも、保険料の払込みと保険期間が、95歳、100歳ととても長期の設定をしている保険商品が一部あります。ただし、設定した期間を超えると保障が消滅してしまうのが定期保険の特徴です。それに対して、終身保険は生存している限り何歳まででも保障が続きます。そのため、いつ発生するかわからない相続の対策として活用しやすいのです。
終身保険の種類
低解約返戻金型終身保険
終身保険のなかでも払込期間中は解約返戻金を低く設定してある保険をこのように呼びます。払込期間中の解約返戻金を低く設定することで、一生涯続く死亡保障をお手頃な保険料で確保できるというメリットがあります。
積立利率変動型終身保険
一般的な終身保険は、加入時の予定利率が保険期間中ずっと続きますが、積立利率変動型の場合はその時の市場金利によって利率が変動します。保険期間中に加入時よりも金利が上がっていく場合、連動して解約返戻金も増えるため、インフレリスク(物価上昇により、お金の価値が下がるリスク)に強いとも言えます。一方で、将来的な解約返戻金が確定していないため、期待よりも解約返戻金が少なくなる可能性もあります。
変額保険(終身型)
積立部分を株式や債券などで運用する保険を変額保険といいます。保険商品により、選べるファンドのラインナップが異なるほか、運用成績によって保険金額や解約返戻金も変動します。死亡や高度障害状態となった際の保険金には最低保証がありますが、解約返戻金は運用成果によって変動するため、元本を下回ることもあります。
外貨建て保険
海外の金利を元にして予定利率を計算し、外貨(米ドル・豪ドルなど)で保険料や保険金が計算される保険を外貨建て保険といいます。海外の金利は日本の金利より高いことが多いため、外貨で計算した際の貯蓄性は高いものの、保険金や解約返戻金を受け取って円に変えるタイミングによっては、元本割れとなる可能性もあります。
終身保険の選び方
終身保険が向いているのはこんな人
終身保険は、葬儀費用を準備したい人に向いています。何歳になっても保障が続く終身保険なら、中途解約をしない限り、長生きしても死亡保障で備えられます。
また、終身保険は計画的な貯蓄をするのが苦手な人に向いています。終身保険を中途解約すると解約返戻金が支払われるため、あるタイミングで解約して、解約返戻金を受け取ることを前提に終身保険を使うことがあります。一般的な終身保険の場合、近年は予定利率が低迷していて、かつての予定利率が高い時期と比べると貯蓄性が劣るため、リスクを理解した上で投資性のある変額保険や外貨建て保険を活用するという人もいます(運用結果によっては元本割れすることもあります)。
そのほか、終身保険は一生涯保障が続くことから、相続対策を考えている人にも向いています。相続対策は具体的に分類すると下記の3つがあります。
① 納税資金対策
資産が不動産など流動性のない資産に偏っていて、税金を一括で支払うことができない場合は、相続財産を売却しなくてはなりません。終身保険で備えて死亡保険金を活用することで、相続税の納税が可能となります。
② 分割対策
相続人が複数いるにもかかわらず、相続財産が不動産など均等に分けにくい財産しかない場合、相続をした兄弟間で不満が生まれる原因になります。この場合、相続人のひとりが法定相続分よりも多くの遺産を相続して、ほかの相続人には代わりに現金などを支払う代償分割という方法があります。
③ 節税対策
終身保険は遺された家族の生活のための資金ということから、受け取る人が法定相続人の場合は「500万円×法定相続人数」の金額が非課税となるように考慮されています。そのため、相続財産を計算する際に、同じ額を現金で持っているよりも課税対象額を抑えることができます。
「不動産が多く、納税のための現預金が少ない」「相続人が複数人いて、公平な分割が難しい」「相続税を抑えたい」などの悩みを持つ方に終身保険はおすすめです。
大きな保障が必要な時は終身保険にこだわらない
終身保険は死亡保障を目的とした保険ですが、子どもの誕生など、これから大きなライフイベントを迎える人は、必要保障額も大きくなります。その全てを終身保険で備えることにこだわると、貯蓄性がある分保険料が大きくなり、日々の家計を圧迫することがあります。大きな保障が必要な時には、定期保険や収入保障保険など、掛け捨て型の死亡保険で備える手段もあります。
加入目的と、必要保障額や保険料のバランスを見ながら、終身保険、定期保険、収入保障保険を使い分けるといいでしょう。
終身保険は一生涯必要な保障に絞るのが現代的
終身保険は、計画的な貯蓄をするのが苦手な方に向いています。葬儀費用の準備や、相続対策など、一生涯必要な保障に絞って活用しましょう。家族の生活保障のように大きな死亡保障が必要なときには、保険料がお手頃な掛け捨て型の死亡保険の利用も検討しましょう。
- ※ 当記事は著者個人の見解・意見によるものです。
- ※ 当記事の内容は作成日現在公表されている情報や統計データ等に基づき作成しており、将来予告なく変更されることがあります。
- ※ 当記事で書かれている保険の内容には、アクサのネット完結保険では取り扱いのない商品や手続きがございます。
- ※ アクサのネット完結保険の保険商品の詳細につきましては、重要事項説明書/ご契約のしおり・約款を必ずご覧ください。
- ※ 当記事を参考にご加入中の生命保険の見直し・解約をされる際には、以下3点にご留意ください。
- ① 一度解約した生命保険契約はもとには戻らないこと。
- ② 解約返戻金は解約するタイミングによって、払込保険料の合計額よりも少なくなる場合があること(解約返戻金がない保険商品もあります)。
- ③ 健康状態によっては新たに保険に加入できなかったり、加入できても保険料の増加や一部の保障が対象外になるなど特別条件付きの契約となる場合もあること。
- ※ 個別の税務等の詳細については税務署や税理士等、専門家にご確認ください。
ライター
氏家祥美(うじいえよしみ)
ファイナンシャルプランナー
ハートマネー代表
お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。
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