保険お役立ちコラム

生命保険(死亡保険)の必要保障額の目安とは?シミュレーションを元に解説

更新日:2023/06/09

※本記事についてのご注意

もしも自分や家族に万が一のことがあったら?想像したくない話ですが、誰にでも起こりうることです。そんな時、遺された家族が生きていくためのお金を保障してくれるのが「生命保険(死亡保険)」です。生命保険で備える必要保障額の目安についてシミュレーションを元に解説します。

必要保障額とは、万が一のことが起こった場合に備えて、遺された家族が生活していくために生命保険で準備すべきお金のことをいいます。家計を支える世帯主が亡くなった場合、その後の収入は途絶え、暮らしにかかるお金の流れは急変します。共働きでも、どちらかに万が一のことがあれば収入が半減して生活が厳しくなる可能性があります。特に、子どもが小さい場合には、将来の教育費の準備も必要になります。

ただし、万が一の後に入ってくるお金は「生命保険金」だけではありません。遺族年金や企業からの死亡退職金などもあります。遺族が将来にわたって生きていくために必要な費用を計算し、足りない部分を生命保険(死亡保険)で補うのが基本的な考え方です。

生命保険で準備すべき必要保障額は、万が一の後に必要となる「遺族の支出(※1)」から、その時点での貯蓄と将来にわたって受けとることができる「遺族の収入(※2)」を差し引いて算出します。

必要保障額 = 遺族の支出(※1) -(貯蓄+遺族の収入)(※2)

  • ※1 遺族の支出:生活費、住居費、教育費、臨時費用、葬儀に関わるお金(お布施・返戻品・墓代)など
  • ※2 遺族の収入:公的遺族年金、死亡退職金、企業年金 など

必要保障額は、家族構成や資産状況、万が一の後に見込まれる収入額などによって、人それぞれ異なります。その方の理想とする生活スタイルや、お金に対する価値観などによっても違いが出ます。

生命保険は定期的な見直しが必要です。大きなライフイベントは生命保険の加入を検討したり、必要保障額を見直したりする重要な「タイミング」です。時系列で考えてみましょう。

就職

社会人になって収入を得るようになるタイミングです。養う家族がいない独身の方の場合、準備が必要なお金は葬儀代やお墓費用などです。貯蓄で賄えない場合は掛け捨ての生命保険などで準備することができます。
若い世代の場合、死亡保障よりも病気やケガによる入院や手術に備えるため医療保険や、働けなくなった場合に給付金を受け取ることができる就業不能保険などを優先して備えておくとよいでしょう。

結婚

大切にしたい家族が増えるタイミングです。共働き、専業主婦(主夫)世帯かによっても異なりますが、「配偶者のためにいくら遺したいか」を考えて保障額を算出します。共働きの場合は、それぞれ収入があるため、大きな保障は不要ですが、葬儀代やお墓費用、数ケ月分の生活立て直しにかかる費用など、ある程度の備えはあったほうがよいでしょう。一方、専業主婦(主夫)の場合には、生活していけるだけの保障を遺しておく必要があります。

子どもの誕生

保障額の見直しが必要なタイミングです。一般的には末子が誕生したタイミングが必要保障額のピークとなります。また、子どもの成長に応じて見直しを行うことも大切です。子どもが自立すると必要保障額は減っていきます。子どもが小さいうちは、お手頃な保険料で保障が得られる定期保険などで備えておくとよいでしょう。

住宅購入

マイホーム購入の際、ほとんどの人は住宅ローンと合わせて団体信用生命保険に加入します。団体信用生命保険とは、契約者が死亡した際に、ローンの支払いが免除されるものです。万が一のことが起こり、団体信用生命保険によってローンの支払いが免除になると、その後の住宅費用がかからなくなります。住宅購入の際、住宅資金のために準備していた生命保険の保障と重複する場合、必要保障額を減額できる可能性があります。

必要保障額の見直し方

現状の家計収支を整理し、将来かかるお金を見直します。必要保障額はライフイベントだけでなく、物価上昇や就学支援にかかる制度変更といった社会環境からの影響も受けます。家族の将来のライフプランについても見つめ直す良い機会にもなります。

学校種別の教育費総額

子どもがいる場合、必ずかかるのが教育費です。公立か私立か、お稽古事や塾に対する考え方によっても費用が異なります。平均的な教育費を見てみましょう。なお、幼児教育の無償化、私立高校、高等教育の無償化など、教育費を支援する制度は拡充傾向にあります。所得や地域によっても受けられる制度の内容が異なり、今後も変わる可能性があります。

図表1「学校種別の教育費」
公立
(大学は国立)
1年当たり 私立 1年当たり
幼稚園 33.0万円 16.5万円 92.6万円 30.8万円
小学校 211.5万円 35.2万円 1000.1万円 166.7万円
中学校 161.6万円 53.8万円 430.9万円 143.6万円
高校 153.8万円 51.2万円 316.3万円 105.4万円
大学 242.5万円 60.6万円 407.9万円 101.9万円
トータル 798.4万円 2247.9万円
  • ※ 公立幼稚園は2年間、私立幼稚園は3年間で試算
  • ※ 大学は入学金を含む4年間の授業料、私立大学の数値は文系の平均値、国立大学は令和3年度の標準額

以下のデータをもとに筆者が作成

遺族年金

「遺族の収入」として公的遺族年金の他に、勤務先の企業からの死亡退職金や弔慰金、企業独自の遺族年金などを受け取れる可能性があります。企業の制度に関しては、それぞれ異なりますので社内規則などを確認するようにしましょう。

ここでは、公的年金について説明します。子どもの有無や人数によっても受給できる年金額は異なります。
遺族年金には、国民年金の遺族基礎年金と、会社員や公務員が受けられる遺族厚生年金がありますが、遺族基礎年金は子どもがいる妻・夫のみが受給できる制度です(子どもが18歳到達年度まで)。

図表2「子供の数に応じた遺族年金額」

あなたのご職業:会社員【遺族基礎年金+遺族厚生年金】
あなたのご職業:自営業【遺族基礎年金】

生命保険の必要保障額は、その方の年齢や家族構成などによってそれぞれ違います。では、実際に準備しておきたい必要保障額について、ライフスタイルの異なる4名の方の例をもとに、シミュレーションしてみましょう。

独身 Aさん(26歳 男性 :年収 350万円)

独身のAさんの場合、準備が必要なのは葬儀代やお墓費用です。親にお金を残したい場合には、その分を加算します。貯蓄が十分にある場合には、生命保険で準備する必要性は少ないでしょう。

必要保障額 = 500万円(葬儀代、お墓費用他) + (親に残すお金など)

葬儀の平均総額は約184.3万円、お墓にかかる平均費用(墓石代・墓地使用料・管理費)は292.8万円程度となっています。

専業主婦 Bさん(30歳 女性 :無収入 1歳、3歳の子ども有り)

専業主婦のBさんの場合、現在は夫の収入で生活しており、Bさんに万が一のことがあっても世帯収入が大きく減ることはありません。ただ、子どもが小さいので、Bさんに万が一のことがあると、ベビーシッターや家事外注費用がかかる可能性があります。全国保育サービス協会のデータによると、ベビーシッター料金の基本料金は1時間当たり1,700円程度です。保育園が利用できるかなど状況にもよりますが、仮に、1日8時間で月20日間、10ヶ月利用した場合、ベビーシッター代だけでも約272万円になります。また、家事を外注したり、外食が増えたりなど生活の変化に伴って支出が増えることもあるでしょう。葬儀代やお墓費用などに、それらの支出を加えると、必要保障額の目安は800万円から1,000万円になります。

必要保障額 = 500万円(葬儀代、お墓費用他) + 300万円から500万円(子育て費用・その他)

夫婦 Cさん夫婦 (夫 28歳 妻 28歳 子ども無し)

Cさん夫婦は子どもがおらず、共働きをしています。どちらかに万が一のことがあっても生活していけるため、それぞれが大きな保障を持つ必要性は少ないでしょう。ただし、配偶者が病気になるなどで看病のため、一定期間仕事を休んだり、万が一の場合には、生活を整えたりするための時間が必要になる可能性があります。

総務省のデータによると、単身の勤労者世帯の1ヶ月の支出は178,434円です。この金額を12倍して、予備費を加えると、1年間の生活費は300万円程度と計算できます。ここに、葬儀代、お墓費用、引越しや生活立て直しにかかる費用を加えると、以下のようになります。

必要保障額 = 500万円(葬儀代、お墓費用他) + 300万円(1年分の生活費と予備費)+ 200万円(引越しや生活立て直し費用)+ (収入差分など)

  • ※ 参考 総務省統計局「2022年 家計調査年報」
    単身世帯の1世帯当たり1か月間の収入と支出
    詳細はこちら

なお、夫婦の収入に差がある場合には、それぞれの収入バランスを考慮して必要保障額を加算します。目安としては1,000万円プラス収入差分になります。

子供のいる家庭の夫 Dさん (夫 30歳 年収400万円  妻 30歳  6歳・3歳の子ども有り
賃貸住宅 夫Dさんは会社員 妻は扶養控除内パート勤務 貯蓄1,000万円)

Dさんの場合、子どもがいるため、万が一の際、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給することができます。さらに、勤務先の企業から、死亡退職金や弔慰金が出る可能性があります。必要保障額は、将来にかかる生活費や住居費、教育費、結婚費用などの「遺族の支出」から、貯蓄額と遺族年金などの「遺族の収入」を差し引いて計算します。
また、Dさんは賃貸住宅に住んでいるため、その後も住居費がかかります。教育費は高校までは公立で大学のみ私立、妻は現在と同程度の収入で働き続けることを前提として計算し、必要保障額は約3,700万円となりました。Dさんと同じ子育て夫婦世帯でも、賃貸か持ち家か、妻の働き方によって必要保障額は異なってきます。同条件でDさんが自営業の場合には、遺族厚生年金(約2,500万円)が受給できませんので、その分を加算する必要があります。

必要保障額 = 遺族の支出 1億5,262万円 -(貯蓄1,000万円 + 遺族の収入1億538万円) = 3,724万円 

生命保険は万が一に備える大切なものではありますが、使わなくて済むのが一番の幸せです。まずは、将来のライフプランを描いてみましょう。その上で、万が一のことが起こったとしても、安心して生きていくためにはどの程度のお金があればよいのかを考えて必要保障額を計算してみてください。

ライター

合田菜実子(ごうだなみこ)

ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。

Happy Career & FP Support Office 代表。

お茶の水女子大学大学院修了。
2007年CFP ® 資格取得後、講師業・執筆業を中心に業務を始める。2010年にキャリアコンサルタント資格を取得し、Happy Career & FP Support Office を設立。
「お金」と「キャリア」の両面からサポートできる専門家として活動中している。
大学や高校などにおける「パーソナルファイナンス教育」他、BSジャパン「お金のなる気分」に出演する等メディア経験も多数。

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