保険お役立ちコラム

死亡保険金にかかる税金の種類とは?基本の考え方や確定申告についても解説

更新日:2023/12/22

※本記事についてのご注意

死亡保険金には税金がかかりますが、受取人が誰かによって、かかる税金の種類や税金の計算方法が異なります。今回は、死亡保険金の金額が200万円だった場合を想定し、相続税、所得税、贈与税がかかる事例ごとに税金の計算方法や申告について解説します。

死亡保険金にかかる税金の種類

死亡保険は、多くの場合、遺族の生活を守るために加入します。その性質から、死亡保険金には、遺された法定相続人の人数に応じた非課税枠が設けられています。非課税枠を超過した死亡保険金は、相続税などの課税対象になります。なお、相続税の計算時には相続税の基礎控除があります。

死亡保険金には、相続税のほかに所得税や贈与税がかかる場合もあります。どの税金がかかるかは、保険料を負担した契約者、保障の対象となった被保険者、死亡保険金を受け取る受取人の関係性によって決まります。

また、税金の種類によって、負担する税額や算出方法が異なります。図表1は、契約者・被保険者・受取人の関係性と税金の種類を一覧にしたものです。

図表1「死亡保険金にかかる税金の種類」
契約者
(保険料の負担者)
被保険者
(保障の対象者)
受取人
(お金を受取る人)
税金の種類
A A B 相続税
A B A 所得税
A B C 贈与税
相続税

故人から引き継いだ相続財産には、相続税がかかります。死亡保険金は、亡くなった人が所有していた財産ではなく、個人の死亡をきっかけに受け取ることから「みなし相続財産」となりますが、契約者の遺族が受け取った死亡保険金は、相続税の対象になります。

具体的な例をみていきましょう。例えば、妻と2人の子どもを遺して、一家の大黒柱だった夫が亡くなり、妻が夫の死亡保険金を3,500万円受け取ったケースです。

この場合、関係性は「契約者=夫、被保険者=夫、受取人=妻」となるため、税金の種類は相続税になります。死亡保険金には、相続税の非課税枠があります。

妻と2人の子どもが遺されたため、法定相続人は3人となり、「500万円×3人=1,500万円」が死亡保険金の非課税枠となります。死亡保険金額が3,500万円であれば、非課税額を差し引いた2,000万円が相続税の対象になります。

これに、生命保険以外の相続財産(預貯金、不動産、その他財産)を足していきますが、相続税の基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人数」を相続財産から差し引いた金額に、相続税の税率を掛けて税額を計算することになります。

税金額の例

死亡保険金が200万円と500万円だった場合の、相続税の税金額を計算してみましょう。

遺族が200万円の死亡保険金を受け取った場合には、相続税の対象になります。この場合、「500万円×法定相続人数」の基礎控除の範囲内に収まるため、死亡保険金に対しての相続税は0円となります。

また、遺族が500万円の死亡保険金を受け取った場合にも、相続税の対象になります。この場合、「500万円×法定相続人数」の基礎控除の範囲内に収まるため、死亡保険金に対しての相続税は0円となります。

死亡保険金には非課税枠がある

遺族が受け取った死亡保険金には、法定相続人の人数に応じた非課税枠があります。非課税枠が適用されるのは、契約者と被保険者が同じで、受取人が法定相続人である契約に限られます。法定相続人以外が受け取った死亡保険金には、非課税枠がないので注意が必要です。

非課税枠の金額は、法定相続人1人につき500万円です。計算式にすると、このようになります。

生命保険の非課税枠=500万円×法定相続人の数

相続税の対象となるのは、契約者の遺族が死亡保険金を受け取った場合です。父、母、子ども1人の3人家族を例に、非課税枠について考えてみましょう。

例えば、一家の大黒柱だった夫が亡くなって、妻が夫の死亡保険金を受け取ったケースです。この場合、関係性は「契約者=夫、被保険者=夫、受取人=妻」となります。

父が亡くなった場合、法定相続人は母と子ども1人、合計2人になります。例えば、父親が自分の死後に備えて加入していた生命保険がある場合、その死亡保険金には「500万円×2人=1,000万円」の非課税枠があります。

仮に、母と子どもが3,000万円の死亡保険金を受け取っていた場合には、3,000万円から非課税枠1,000万円を差し引いた残りの2,000万円が相続税計算の対象になります。

基礎控除以下は相続税がかからない

相続税の計算にも基礎控除があります。基礎控除は、相続税の計算の際に、相続財産から一定額を差し引ける金額のことです。相続税の基礎控除は、以下の計算式で計算します。

相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、法定相続人が2人の場合、相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」と計算できます。この場合、相続財産の合計額が4,200万円以下ならば、基礎控除の範囲内に収まるため、相続税がかかりません。

保険料を支払った契約者が死亡保険金を自分で受け取った場合には、所得税の対象になります。

例えば、夫が妻を被保険者とした生命保険に加入した後、妻が亡くなって夫が死亡保険金を受け取ったケースがこれに当たります。この場合、関係性は「契約者=夫、被保険者=妻、受取人=夫」となります。

死亡保険金にかかる所得税は、その受け取り方によって税額の計算方法が異なります。一時金として受け取ると一時所得扱いとなり、年金形式で受け取ると雑所得扱いとなります。なお、相続税ではないため、生命保険の法定相続人非課税枠は利用できません。

また、所得税がかかる場合には、住民税も課税されることになります。

(1)一時金として受け取った場合

死亡保険金を一時金として受け取った場合には、一時所得となります。ほかに一時所得がない場合には、受け取った死亡保険金から、払い込んだ保険料と特別控除額(最高50万円) を差し引いた金額を、さらに2分の1にした額に対して課税されます。

一時所得の課税対象額は、「(死亡保険金-払込保険料-50万円)×2分の1」で計算できます。

また、所得税額は、上記で計算した課税対象額に所得税率を掛けて計算します。

(2)年金として受け取った場合

死亡保険金を年金として受け取る場合には、その年に受け取った年金額から、その金額を受け取るために支払った保険料を差し引いた金額が、「公的年金以外の雑所得」として所得税の対象になります。

原則として、年金として受け取る保険金からは、所得税が源泉徴収されます。

税金額の例

死亡保険金が200万円だった場合と500万円だった場合の所得税額をそれぞれ計算してみましょう。

死亡保険金が200万円の場合

妻を被保険者にした生命保険の保険料30万円を夫が支払い、妻の死亡後に200万円の死亡保険金を夫が一時金として受け取ったとします。

図表2「死亡保険金200万円を一時金として受け取った場合の所得税の計算例」

死亡保険金200万円

死亡保険金200万円
一時所得の課税対象額:(死亡保険金額-払込保険料-特別控除)×2分の1
=(200万円-30万-50万円)×2分の1
=60万円

一時所得は、総合課税されます。一時所得とその他の所得を合算してから、各種控除を差し引き、所得税率を掛けると税額が計算できます。

仮に所得税率が20%だった場合、追加で納付することになる所得税額は、この場合、60万円×20%=12万円となります。(復興所得税2.1%を含むと、12万2,520円となります。)

税率は課税される所得金額に応じて異なります。税率は、国税庁「所得税の税率」をご覧ください。

さらに、1年遅れで住民税を支払います。住民税の税率は一律で10%です。200万円の死亡保険金を受け取ったことによる住民税の増加分は、60万円×10%=6万円となります。

死亡保険金が500万円の場合

妻を被保険者にした生命保険の保険料30万円を夫が支払い、妻の死亡後に500万円の死亡保険金を夫が一時金として受け取ったとします。

図表3「死亡保険金500万円を一時金として受け取った場合の所得税の計算例」

死亡保険金500万円

死亡保険金500万円
一時所得の課税対象額:(死亡保険金額-払込保険料-特別控除)×2分の1
=(500万円-30万-50万円)×2分の1
=210万円

仮に所得税率が20%だった場合、追加で納付することになる所得税額は、この場合、210万円×20%=42万円となります。(復興所得税2.1%を含むと、42万8,820円となります。)

500万円の死亡保険金を受け取ったことによる住民税の増加分は、210万円×10%=21万円となります。

贈与税の対象となるのは、契約者、被保険者、受取人がすべて異なる場合です。例えば、夫が契約をした生命保険の被保険者が妻の場合で、妻の死亡後に子どもが死亡保険金を受け取るケースでは、贈与税がかかります。この場合の関係性は「契約者=夫、被保険者=妻、受取人=子」となります。

贈与税には、年間110万円の基礎控除があります。そのため、死亡保険金から110万円を差し引いた金額に対して、贈与税率を掛けて税額を計算します。20歳以上の子や孫などへの贈与は特別贈与となり、一般贈与よりも税率が低めに設定されています。

  • ※ 相続時精算課税を利用している場合は別の計算式があります。
図表4「特別贈与財産の贈与税率」
基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円
図表5「一般贈与財産の贈与税率」
基礎控除後の課税価格 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 3,000万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

税金額の例

死亡保険金が200万円だった場合と500万円だった場合の所得税額をそれぞれ計算してみましょう。

死亡保険金が200万円の場合

妻を被保険者にした生命保険の保険料を夫が支払い、妻の死亡後に200万円の死亡保険金を20歳以上の子どもが受け取ったとします。

この場合、子どもが受け取った死亡保険金は贈与税の対象となります。200万円から贈与税の基礎控除110万円を差し引けるため、残りの90万円に対して贈与税がかかります。

20歳以上の子どもが受け取った場合、特別贈与財産の税率が適用されます。図表4より、90万円に対する贈与税率は10%ですから、子どもは90万円×10%=9万円の贈与税を納めることになります。

死亡保険金が500万円の場合

妻を被保険者にした生命保険の保険料を夫が支払い、妻の死亡後に500万円の死亡保険金を20歳以上の子どもが受け取ったとします。

この場合、子どもが受け取った死亡保険金は贈与税の対象となります。500万円から贈与税の基礎控除110万円を差し引けるため、残りの390万円に対して贈与税がかかります。

20歳以上の子どもが受け取った場合、特別贈与財産の税率が適用されます。図表4より、390万円に対する贈与税率は15%(控除額10万円)ですから、子どもは390万円×15%-10万円=48万5,000円の贈与税を納めることになります。

死亡保険金の確定申告と税金

かかる税金の種類によって、申告や納付の期限が異なります。納付期限を過ぎると延滞税等がかかります。早めに申告と納付を済ませましょう。

相続税の場合

相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行います。納税もこの申告期限内に行います。

また、相続税の申告先と納税先は、亡くなった被相続人の住所地を管轄する税務署になります。相続した人の住所地ではないので、注意が必要です。

不動産や会社のように、相続人同士で分けにくい遺産が大部分を占める場合や、親族関係が複雑な場合などには、遺産分割に時間がかかる場合があります。申告期限までに申告書を提出しなかった場合や、申告期限を過ぎてから提出した場合には、無申告加算税や延滞税がかかる場合があるので、気をつけましょう。

所得税の場合

所得税の申告は、所得があった年の翌年の2月16日から3月15日の確定申告期間内に行います。所得税の納付期限も3月15日までとなります。所得税の申告先と納税先は、申告する本人の住所地にある税務署です。

なお、e-tax(国税電子申告・納税システム)を使えば、税務署に出向かなくてもオンライン上で申告できます。

贈与税の場合

贈与税の申告は、贈与を受けた人が、翌年の2月1日から3月15日の間に行います。納付期限も3月15日までとなります。贈与税の申告先と納税先は、贈与を受けた申告者本人の住所地にある税務署です。贈与税についても、e-taxを利用してオンライン上で申告ができます。

一括納付が難しい場合には、所定の条件を満たした場合に延納が認められます。5年以内の年払いができますが、利子の支払いが必要です。

保険の契約者が受け取った死亡保険金は、所得税の対象になります。契約者でも被保険者でもない人が受け取った死亡保険金は、贈与税の対象になります。死亡保険金は契約者・被保険者・受取人によって税金の種類や税額が異なります。そのため、死亡保険金を遺したい人にしっかり遺せるように、保険加入前に契約者・被保険者・受取人を明確に決めておくことが大切です。

ライター

氏家祥美(うじいえよしみ)

ファイナンシャルプランナー

ハートマネー代表

お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。

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