保険お役立ちコラム

死亡保険金の相続税申告は漏れなく行おう!計算方法と申告方法

更新日:2022/10/27

※本記事についてのご注意

日頃はあまり経験することのない相続税の申告ですが、生命保険を活用することで、法定相続人一人につき500万円の非課税枠が利用でき、相続税の優遇が受けられます。相続税の申告期間はわずか10ヶ月です。いざというときに困らないように、相続税の計算方法や申告手順について知っておきましょう。

死亡保険金の相続税申告は漏れなく行おう!計算方法と申告方法

生命保険の死亡保険金に相続税が課税されるのは、保険の契約者と被保険者が同一の場合です。
例えば、保険の契約者であり被保険者でもある夫が亡くなって、妻が死亡保険金の受取人となった場合に、妻が受け取った死亡保険金は相続税の対象となります。

ただし、死亡保険金には一定の相続税非課税枠が設けられていることから、相続税が非課税になることもあります。

相続税の課税対象額と計算方法

STEP1. 課税価格を計算する

(1)相続財産を洗い出す

現金・預貯金、生命保険、家・土地、自動車、有価証券、著作権など、被保険者が所有していた財産をすべて洗い出します。

(2)死亡保険金の非課税枠を差し引く

みなし相続財産として死亡保険金がある場合には、受け取った死亡保険金額から非課税枠を差し引くことができます。死亡保険金の非課税枠の計算式は以下の通りです。

死亡保険金の非課税枠:500万円×法定相続人の人数

例えば、夫が亡くなり、法定相続人である妻と子ども2人の計3人が死亡保険金5,000万円を一時金で受け取った場合、「500万円×3人=1,500万円」が非課税扱いとになります。そのため、死亡保険金5,000万円のうち、非課税枠1,500万円を差し引いた3,500万円が相続財産に加えられます。

ただし、法定相続人以外の人が受け取った死亡保険金には、この非課税枠は適用できません。

(3)債務と葬祭費用を差し引く

住宅ローンやその他借金、未払いの税金など、被保険者が遺したマイナスの財産がある場合には、相続財産から差し引くことができます。また、葬式にかかった費用も相続財産から差し引けます。

(1)から(3)をまとめると、このようになります。
課税価格=相続財産+(死亡保険金-非課税枠)-債務-葬祭費用

STEP2. 課税遺産総額を計算する

相続税の計算では、法定相続人の人数に応じた基礎控除を差し引くことができます。基礎控除の計算式は以下の通りです。

相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の人数

例えば、妻と子ども2人が法定相続人となる場合には、基礎控除として「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」を相続財産から差し引けることになります。

STEP1の課税価格から、相続税の基礎控除を差し引くと、課税遺産相続が計算できます。この金額がマイナス、もしくはゼロになれば相続税はかかりません。

STEP3.相続税の総額を計算する

(1)相続人全員の仮の相続税額を計算する

課税遺産総額がプラスの場合には、相続税を計算することになります。

相続税計算のポイントは、一度、法定相続分通りに分けてから相続税率を掛けることです。実際の相続割合に関わらず、課税遺産総額を図表1「法定相続人と法定相続分」に示した法定相続分通りに分割したものと仮定して、各相続人の相続税額を計算します。続いて、それぞれの相続税額を合計して、相続税の総額を計算します。

図表1「法定相続人と法定相続分」
法定相続人 法定相続分
配偶者と子 配偶者1/2 子1/2
配偶者と親(直系尊属) 配偶者2/3 親(直系尊属)1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4
図表2「相続税の速算表」
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円
1億円超~2億円以下 40% 1700万円
2億円超~3億円以下 45% 2700万円
3億円超~6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

以下で計算例を用いて解説していきます。
例えば、夫が亡くなって、妻と子ども2人が遺産を相続したとします。STEP1で計算した課税総額が1億円だった場合、相続税はいくらになるでしょうか。

STEP2の課税遺産総額は、STEP1から相続税の基礎控除を差し引いて計算します。課税総額が1億円の場合、法定相続人3人分の相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)を差し引くと、課税遺産総額は5,200万円と計算できます。

STEP3では、この5,200万円を法定相続分に分けていきます。図表1「法定相続人と法定相続分」の法定相続分を見ると、妻が1/2を取得し、子は1/2を二人で分け合うことになります。続いて、図表2「相続税の速算表」を参考に、金額に応じた相続税率を掛けると、各相続人の相続税額が計算できます。
妻:5,200万円×1/2=2,600万円 2,600万円×15%-50万円=340万円
子1・子2:5,200万円×1/2×1/2=1,300万円 1,300万円×15%-50万円=145万円

算出した妻・子1・子2の仮の相続税額を足し合わせると、相続税の総額が計算できます。
340万円+145万円+145万円=630万円

STEP4. 相続税の総額を実際の相続割合で按分する

STEP3では、相続人全体の相続税額が計算できましたが、実際の相続は、法定相続分通りに行うことばかりではありません。そこで、実際に相続した割合に応じて相続税額を配分していきます。

STEP1で計算した課税遺産総額1億円を、話し合いの結果、妻が7,000万円、子1・子2が1,500万円ずつ相続することになった場合、各人が負担する相続税はこのようになります。
妻:630万円×7,000万円÷1億円=441万円
子1・子2:630万円×1,500万円÷1億円=94.5万円

STEP5 相続人によって減額や加算を行う

(1)配偶者は1億6,000万円の税額軽減あり

「配偶者には、1億6,000万円か法定相続分のどちらか大きな金額まで相続税がかからない」という特例があります。特例を適用させるには申告期限までに遺産分割が完了していることが条件となること、特例によって相続税がかからなくなったとしても相続税の申告は必要なことに注意しましょう。

STEP4では、計算の結果、妻の相続税は441万円となりましたが、配偶者の税額軽減の特例により妻が負担する相続税は0円となります。

(2)2親等以降の人が相続した場合は2割加算

財産を相続した人が配偶者、または1親等内の親族(親や子)ではない場合、計算した相続税額にさらに2割加算されます。例えば、亡くなった人の兄弟姉妹が遺産を相続した場合には、2割加算の対象となります。

相続税の申告期限は、被保険者が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。提出期限が土・日・祝日の場合にはその翌日(休み明けの平日)が期限となります。

相続税の申告手順は、最初に戸籍を調べて法定相続人を確定し、相続財産を洗い出します。続いて、法定相続人全員で遺産分割の割合について話し合いを行います。この話し合いがまとまったら、「遺産分割協議書」を作成します。遺産分割協議書には法定相続人全員の住所、署名、実印の押印が必要です。遺産分割協議が無事に終わったところで、相続税の申告書の作成と必要な添付書類を用意して、相続税の申告を行います。相続税が課税される場合には、相続税の申告期限内に相続税を納めることになります。

相続税は現金一括払いが原則となっています。しかし自宅や事業用の店舗、土地などの不動産が主な相続財産の場合には、相続税を納めるための現金が用意できずに困ることがあります。そのため、相続税の納税資金準備として生命保険が活用されることもあります。

相続が発生すると10ヶ月以内に相続税の申告と納税を済ませなくてはなりません。相続財産が不動産など現金化しにくい財産が中心となる場合には、あらかじめ生命保険に加入して、死亡保険金を納税資金として活用できるような工夫も有効でしょう。

ライター

氏家祥美(うじいえよしみ)

ファイナンシャルプランナー

ハートマネー代表

お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。

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