保険お役立ちコラム

医療保険は控除の対象になる?医療費控除の計算や申請方法、生命保険料控除との違いについて

公開日:2020/3/27

※本記事についてのご注意

生命保険料控除が1年間に支払った保険料に応じて税金の払い戻しを受けられる制度なのに対して、医療費控除は1年間に支払った医療費に応じて、税金の払い戻しを受けられる制度です。主に医療費控除について詳しく解説をしていきます。

医療費控除とは

医療費控除は、医療費を多く支払っている人や家庭の経済的負担を軽減する制度です。具体的には、1月1日から12月31日までの1年間に、自分と家族のために支払った医療費の合計が10万円(もしくは所得合計額の5%)を超えた場合には、翌年に確定申告をすることで、税金の一部が還付金として戻ってくる可能性があります。

医療費控除額の計算式

( 1月1日から12月31日までに支払った医療費の総額 - 保険金などで補てんされる金額 ) - 10万円(※1)=医療費控除額
  • ※1 所得合計額が200万円までの人は10万円の代わりに所得合計額の5%を差し引ける

医療費控除の対象となる金額の計算では、1年間(1月1日から12月31日)に支払った医療費の合計額から、民間医療保険等から支払われた入院給付金や手術給付金等、公的健康保険から支払われた高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などを差し引きます。さらに、その金額から10万円を差し引くと、医療費控除額を計算できます。医療費控除額の上限金額は200万円となります。

10万円を差し引いて医療費控除を計算することから、1年間で10万円を超える医療費を負担したかどうかが、医療費控除に該当するかの1つの目安になります。ただし、総所得額が200万円以下の場合には、10万円の代わりに所得合計額の5%を差し引きます。

また、ここで計算した医療費控除額は、税額計算の際に、所得から差し引ける金額にすぎないため、還付される金額ではありません。医療費控除によって払い戻される税額は、医療費控除額×所得税率で計算できます。

<医療費控除額の計算例>
〇1年間の所得合計額が400万円の会社員の場合
└1年間の医療費負担:30万円
└医療保険からの入院給付金:8万円
└所得税率:20%

先ほどの医療費控除額の計算式に当てはめると以下のようになります。
(30万円-8万円)-10万円=12万円

1年間の所得から医療費控除として12万円差し引けるため、この会社員の場合には、12万円×所得税率(20%)=2万4,000円の所得税の還付金を受けれることになります。

確定申告とは

会社員ですと、給与から所得税や住民税が天引きされ、生命保険料控除などの税金の払い戻しの手続きも勤務先の年末調整で完結します。そのため、確定申告という言葉にあまり馴染みがない人もいることでしょう。

確定申告とは、1年間の収入とかかった経費等を税務署に申告して、納税額を確定する手続きのことを言います。1月1日から12月31日までを1年として、翌年の2月16日から3月15日の間に、税務署に書類を提出して手続きをします。自営業者は年末調整がないため、毎年確定申告をします。会社員で確定申告の義務がない人でも、前年にマイホームを購入した人、災害や盗難の被害にあった人、寄付やふるさと納税をした人、入院や出産などで多額の医療費がかかった人などは、確定申告をすることで納めた税金の一部が還付金として戻ってくる可能性があります。
確定申告の受付期間は土日に当たる場合は期間が変わることがありますので、確定申告する際には国税庁のホームページでその年の確定申告の受付期間を確認しておくといいでしょう。

医療費控除の手続きに必要な書類

医療費控除を受けるためには、以下の書類が必要です。それぞれ説明をしていきましょう。

(1)医療費控除の明細書

医療費控除を受けるためには、1年間の医療費が10万円以上かかったことを証明する必要があります。以前は、医療費の領収書を提出していましたが、平成29年分の確定申告からは、医療費控除の明細書を提出することになり、領収書の提出はいらなくなりました。ただし、確定申告期限から5年経過するまでの間は税務署から領収書の提示を求められることがあるので、領収書は5年間自宅で保管しておきましょう。

医療費控除の明細書をスムーズに記入するために、あらかじめ医療費に関する領収書を保管しておきましょう。病院への支払いのほか、市販の風邪薬代なども医療費控除の対象になります。家族がいる場合には、家族分を合算して申請できるので、1人ずつの領収書を医療機関や薬局ごとにまとめておくと、記入しやすくなります。

また、健康保険組合等から送られてくる「医療費のお知らせ」などの医療費通知を添付することで、医療費控除の明細書への記入を省略することもできます。医療費控除の明細書はこちらからダウンロードできます。

(2)給与所得の源泉徴収票(会社員のみ)

確定申告を受けるためには、前年の所得を証明する必要があります。会社員の場合は、年末に会社で発行される源泉徴収票を提出することになります。もしも無くしてしまった場合は、会社で再発行をしてもらいましょう。

(3)確定申告書

確定申告の手続きには、確定申告書が必要です。確定申告書の用紙は税務署で配布していますし、インターネットでもダウンロードできます。用紙のダウンロードと詳しい記入方法は、国税庁のホームページをご覧ください。

確定申告書にはAとBの2種類の用紙があります。会社員の人が、医療費控除や住宅ローン控除などの目的で確定申告をするなら、所得に関する記入がシンプルな確定申告書Aを選びましょう。確定申告書Bは個人事業主などが使用します。

治療目的なら医療費控除の対象に

医療費控除を受けられるのは、1年間に支払った医療費が10万円を超えた時ですが、そもそも、私たちが病院や薬局に支払ったお金でも、医療費控除の対象に含まれるものと、含まれないものがあります。その判断の基準となるキーワードは、「治療」です。

図表1 医療費控除の対象・非対称の一覧表(※1)
分野 医療費控除の対象になるもの 医療費控除の対象にならないもの
検査・入院等 ・治療目的で支払ったお金・治療につながった健康診断や人間ドッグ費用 ・美容や予防目的で支払ったお金・異常が見つからなかった健康診断や人間ドッグ費用、予防接種
妊娠・出産 ・妊婦健診の自己負担、普通分娩、帝王切開手術等
歯科・眼科 ・虫歯の治療、治療目的の歯科矯正 ・視力矯正のためのレーシック手術 ・美容歯科
医薬品 ・市販の医薬品 ・ビタミン剤や栄養ドリンク
その他 ・通院のための交通費(電車やバス代、電車やバスが利用できない場合のタクシー代) ・自家用車による通院費
  • ※1 図表1は医療費控除の代表的な例を筆者が抜粋して作成したものになります。
    詳しい医療費控除の内容は国税庁のホームページをご覧ください。

予防や美容目的は医療費控除の対象外

基本的に、病気やけがの治療を目的とするものは、医療費控除の対象となります。健康診断や人間ドックの費用なども、検査の結果、なにか異常が見つかって治療につながった場合には、医療費控除の対象になりますが、異常が見つからずに何事もなかったときには、その検査費用は医療費控除の対象にはなりません。治療は対象となり、予防は対象外です。

また、虫歯の治療は医療費控除の対象となりますが、美容を目的とする美容歯科は対象になりません。治療は対象となり、美容目的は対象外です。

出産費用やレーシック手術、歯科矯正も医療費控除の対象に

このほか、健康保険が使えないものでも、医療費控除の対象になるものがあります。例えば、普通分娩による出産は、健康保険が使えませんが、医療費控除の対象になります。また、視力矯正のレーシック手術も健康保険が使えませんが、医療費控除の対象になりますし、歯科矯正も、治療を目的とするものであれば、医療費控除の対象になります。詳しくは治療を始める前に、医療費控除の対象になるか医師に確認しましょう。

医療費控除の手順

(1)医療費控除の対象となる領収書を集める

治療目的であることが重要になります。病院や薬局のほか、ドラッグストアなどで買った風邪薬なども対象になります。集めた領収書は、1人分ずつに分けて、支払先ごとにまとめておきます。

(2)必要書類を準備する

医療費控除の明細書、源泉徴収票、確定申告書を用意します。源泉徴収票は会社で、その他の記入書類は税務署にもらいに行くか、国税庁のホームページからダウンロードできます。

(3)申告書類を税務署に提出する

確定申告の受付期間は、毎年2月16日から3月15日ですが、実は納めすぎた税金の払い戻しを受ける還付申告については、その他の時期でも受付をしています。確定申告の受付期間は土日に当たる場合は期間が変わることがありますので、国税庁のホームページでその年の確定申告の受付期間を確認しておくといいでしょう。

(4)還付金の受け取り

確定申告書に記入した金融機関の口座に、数週間後、還付金が振り込まれます。

申請時のポイント

医療費控除は、家族の医療費をまとめて申告できます。共働き夫婦や、親子で働いている場合には、家庭内で所得が高く、所得税率が高い人がまとめて医療費控除を受けたほうが、税金の払い戻し額が多くなります。

また、医療費控除では、1月1日から12月31日までに支払った医療費を1年分として考えます。年をまたいだ治療費は、同じ治療でも別々の年として扱います。家族のなかで大きい入院や手術、出産をした、という年があれば、その年にあわせて、1年間に医療費をまとめて負担するよう調整すると、1度の医療費控除でまとまった還付金を受け取りやすくなります。

1年間に払った医療費は、確定申告をすると医療費控除の対象になります。医療費控除は、1年間の家族の医療費が10万円を超えた年に申請できます。家族の分は1つにまとめて、家庭内で最も所得の高い人が申請をするといいでしょう。

ライター

氏家祥美(うじいえよしみ)

ファイナンシャルプランナー

ハートマネー代表

お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。

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