保険お役立ちコラム

先進医療特約って必要?保険で備える方法や検討する際の注意点を解説

更新日:2023/04/28

※本記事についてのご注意

先進医療とはどのような医療なのでしょうか。今回は、先進医療にかかる費用例と自己負担額などの仕組みについて解説するほか、先進医療特約の特徴や検討する際のポイント、必要性についてお話しします。

先進医療特約って必要?保険で備える方法や検討する際の注意点を解説

厚生労働大臣が定めた特定の医療技術を「先進医療」といいます。先進医療は、高度の医療技術を用いた療養のうち、公的医療保険の対象とするかどうかを検討している治療や手術です。まだ検討段階なので先進医療の技術料は全額自己負担になりますが、それと同時に行われた診察や検査、投薬や入院にかかる費用には、公的医療保険が利用できます。

先進医療の対象は、新しい治療が増える一方で先進医療から外される治療もあり、常に見直しがされています。厚生労働大臣が定めた先進医療の種類と、先進医療の実施医療機関の最新情報は、厚生労働省のホームページで公開されています。

先進医療の注意点

先進医療を検討するうえで知っておきたいのは、先進医療を実施できる医療機関は、厚生労働省に届け出を済ませた特定の医療機関に限られるということです。全国どこの病院でも先進医療を受けられるわけではなく、治療法によっては病院数がとても限られていることもあります。先進医療を実施している医療機関の確認をしっかりと行いましょう。

先進医療は全額自己負担

先進医療にかかる費用は、患者が全額自己負担することになります。先進医療にかかる費用以外の通常の治療と共通する費用(診察・検査・投薬・入院料等)については、公的医療保険からの保険給付の対象となります。

例えば、総医療費100万円(先進医療の技術料20万円+通常の治療と共通する費用80万円)の場合であれば、先進医療の技術料は20万円全額を患者が自己負担します。

このうち、通常の治療と共通する費用(診察・検査・投薬・入院料等)80万円は、保険診療の対象となります。80万円のうち7割(56万円)が健康保険から給付されるため、3割(24万円)を患者が自己負担します。この保険給付にかかる一部負担については、高額療養費制度の対象となるため、さらに負担が軽減される可能性があります。

総医療費が100万円、うち先進医療に係る費用が20万円だったケース

先進医療の技術料は全額自己負担となり、料金は医療の種類や病院によって異なります。

例えば、がんの重粒子線治療のように1件あたりの技術料が平均で316万円という高額な治療がある一方で、「子宮内膜擦過術」は技術料が1.2万円となっています。このように先進医療といっても技術料には大きなばらつきがあります。

次の表は、年間で100件以上の実績がある先進医療について、1件あたり費用を一覧にしたものです。

図表1「先進医療の治療費一覧」
先進医療の例 年間実施件数 1件あたりの先進医療費
陽子線治療 1,293件 2,692,988円
重粒子線治療 562件 3,162,781円
抗悪性腫瘍剤治療における
薬剤耐性遺伝子検査
227件 37,423円
ウィルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法) 764件 28,388円
細胞診検体を用いた遺伝子検査 493件 78,072円
子宮内膜刺激術 1,814件 33,546円
タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養 15,832件 32,558円
子宮内膜擦過術 240件 12,365円
ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術 847件 25,984円
子宮内膜受容能検査 535件 123,438円
子宮内細菌叢検査 585件 65,518円
強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術 1,516件 15,460円
  • ※ 参考 厚生労働省「令和4年6月30日時点における先進医療に係る費用」
    https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001058499.pdf
  • ※ 令和4年6月30日時点における先進医療Aにかかる費用から先進医療Aのうち、年間実施件数が100件以上あったものを抜粋して筆者が作成

しかし、表にあるような高額な治療を受けた場合でも、医療保険に先進医療特約を付加していれば、先進医療の技術料相当額を給付金として受け取れます。

先進医療に備えるには「先進医療特約」

技術料が全額自己負担となる先進医療には、民間の医療保険で備えられます。民間の医療保険で先進医療の保障を付けておくと、所定の医療機関で先進医療を受けた場合に技術料相当額を給付金として受け取ることができます。

  • ※保険会社によって、給付金額の通算上限金額が異なります。

先進医療特約とは

先進医療特約は、民間医療保険などに付けられる先進医療に備えるための特約です。民間の医療保険やがん保険の特約として、先進医療への保障を上乗せする方法です。厚生労働大臣が定める先進医療と認められた治療を、所定の医療機関で受けた場合に技術料相当額の給付金が支払われます。

医療保険やがん保険で保険診療部分の治療費や差額ベッド代などの出費に備えたうえで、先進医療の技術料にも備えられます。特約で保障を上乗せすることにより、単独の先進医療保険で備えるよりも保険料を抑えやすくなります。

  • ※保険会社によって、給付金額の通算上限金額が異なります。

先進医療特約は高い?

先進医療特約の保険料は付加できる特約の中でも、医療保険かがん保険か、終身型か更新型か、何歳で加入するのかなどによっても異なりますが、1ヶ月あたりの特約保険料はお手頃に設定されています。

アクサのネット完結終身医療を例に、先進医療特約を付加した場合の保険料を算出しました。

<終身医療保険に先進医療特約を付加する場合>
商品名:アクサのネット完結終身医療
∟年齢・性別  :40歳 男性
∟保険期間   :終身
∟保険料払込期間:終身払い
∟入院給付金日額:5,000円
∟手術給付金額 :I型(入院有りなら5万円、入院無しなら2万5,000円)
∟特約     :先進医療特約(特約保険料は月額120円)
∟月額保険料  :1,680円

  • ※上記の保険料は、2024年4月1日現在適用する保険料です。

医療保険とがん保険、どちらに付帯すべき?

医療保険に先進医療特約を付ける場合には、先進医療のすべてが特約の対象になります。
がん保険に付けるがん先進医療特約は、がん治療のための先進医療による治療を受けたときに、その技術料相当額が支払われる特約です。先進医療の中でも、技術料が高額で件数も比較的多い、陽子線治療や重粒子線治療などが対象になります。

先進医療によるがん治療に備えたいという目的には合いますが、がん以外で先進医療を受けることになっても保障の対象外となります。そのため、医療保険に先進医療特約を付帯したほうが、幅広い治療に備えやすくなります。

民間の医療保険で先進医療に備える場合には、どんな点に注意して選べばよいのでしょうか。

先進医療特約で保障される金額

先進医療特約で保障される技術料には、上限額が設けられています。通算でその上限金額に達するまでは、何度でも先進医療の技術料が支払われます。がんの重粒子線治療や陽子線治療などは、1回あたりの金額が高額なだけでなく、治療を複数回受ける可能性もあります。先進医療特約を検討するときには、保障の上限金額を確認しておきましょう。

更新型か終身型か、特約の2つの契約方法

先進医療特約には保障が一生続く「終身型」と、10年ごとなど一定期間ごとに更新していく「更新型」があります。終身型の場合には、特約保険料も保障内容も加入時から一定のままですが、更新型の場合には更新ごとに特約保険料や保障内容が見直されます。終身医療保険やがん終身保険に付加する場合でも、先進医療特約は更新型という場合もあります。

確認したい特約の複数付加

医療保険とがん保険の両方に加入してそれぞれに先進医療特約を付けている方ががんの先進医療を受けると、医療保険からもがん保険からも先進医療給付金を受け取ることになります。このような保障の重複を避けるために、多くの保険会社では医療保険かがん保険のどちらか一方にしか先進医療特約を付けられないようにしています。

別々の保険会社で加入した保険に、それぞれ先進医療特約を付けることはできますが、先進医療特約の目的から考えて、重複して加入する必要はないといえるでしょう。

すでに加入中の保険があるものの、加入中の保険には先進医療特約が付いていない場合にはどうしたらいいのでしょうか。

新しい保険に切り替える

現在加入中の医療保険やがん保険に先進医療特約がない場合には、先進医療特約が付けられる新しい保険へ切り替えることも検討しましょう。

先進医療特約を後付けする

保険会社によっては、先進医療特約をあとから付けられる場合があります。後付けできるかどうかは保険会社ごとに対応が異なるので、後付けを検討するときには、加入中の保険会社に問い合わせをしてみましょう。

なお、長く加入している医療保険やがん保険の場合には、先進医療特約の保障内容が古くなっている可能性もあるので、保障内容や上限額なども確認しておきましょう。

先進医療は、誰でも受けられる治療ではありません。治療実績が豊富で健康保険の適用となる標準治療が優先されるため、標準治療では治療が難しいけれど、先進医療を利用することが効果的と医師が認めた場合にだけ、先進医療を実施している特定の医療施設で受けられる特別な治療です。

利用する可能性が低いという考え方もありますが、先進医療の技術料としてかかる実費がカバーされる先進医療特約を民間医療保険やがん保険に付加しておけば、高額な先進医療の治療も受けやすくなります。経済的な理由で治療の選択肢が狭まることのないように、あらかじめ先進医療への保障を特約として備えておきましょう。

  • ※ 先進医療の種類や医療機関は随時見直されます。最新の情報は厚生労働省のホームページをご覧ください。
    厚生労働省 「当該技術を実施可能とする医療機関の要件一覧及び先進医療を実施している医療機関の一覧等について」
    https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan.html

ライター

氏家祥美(うじいえよしみ)

ファイナンシャルプランナー

ハートマネー代表

お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。

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(実施日:2022年3月15日~2022年3月21日、配信数:13,986件、全回答数:1,821件:他社からの乗り換え加入者604件のうち、当該項目における有効回答者数520件)

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