保険お役立ちコラム

医療保険とは?種類とメリット・デメリットを解説

公開日:2020/10/14

※本記事についてのご注意

病気やケガに備える医療保険にも、様々な種類があります。公的医療保険がわかれば、民間医療保険が選びやすくなりますし、民間医療保険の種類がわかれば、違いを理解して比較しながら選びやすくなります。

日本では乳幼児から高齢者まで、誰もが何かしらの公的医療保険に入る国民皆保険制度があります。そのため、入院や通院、診察や投薬などを受けたときには、健康保険証を提示することで、自己負担額が軽減されます。ただし、それでも公的医療保険でカバーしきれない自己負担が生じるため、民間医療保険に加入して備えます。

公的医療保険

公的医療保険のうち、現役世代で働いている人は、勤務先で「健康保険組合」「協会けんぽ」「共済保険」などの公的医療保険に加入します。本人のみならず、働いている本人に扶養されている家族も加入できます。

勤務先にこうした公的医療保険が無い自営業者やフリーランス、学生や退職者等と、その人に扶養されている家族は、市区町村の窓口で「国民健康保険」に加入します。

  • ※ 会社員でも国民健康保険の加入者には傷病手当金の制度がありません。

また、75歳以上の人を対象にした「後期高齢者医療制度」もあります。これは、それまでの職業や加入していた医療保険制度に関わらず、75歳以上になったらそれまでの医療保険制度を離れて、後期高齢者医療制度に移行することになっています。

現役世代の場合、病院で支払う自己負担額は、原則としてかかった医療費の3割です。高齢者や低所得者に対しては、自己負担が軽減される仕組みもあります。また、1ヶ月の医療費自己負担額が限度額を超えた場合には、超過分を公的医療保険が負担する「高額療養費制度」もあり、医療費が家計を圧迫しないような工夫がされています。

民間医療保険

民間医療保険は、公的医療保険では足りないと感じる時に、個人が民間の保険会社で加入する医療保険です。民間の保険会社では、死亡保険や年金保険など医療保険以外にもさまざまな保険が扱われていますが、民間医療保険は、入院や手術等による出費に備える保険です。

公的医療保険の負担部分以外だと、入院時には差額ベッド代や食事代などが全額自己負担となります。さらに、入院準備のために着替えや備品を購入したり、家族がお見舞いにやってきたりと、普段の暮らしではかからない出費が増えていきます。経済的な負担を気にせずに治療に専念できるように備えておくとよいでしょう。

民間医療保険の種類

終身医療保険

病気やケガによる入院や手術に備える医療保険のうち、保障が一生涯続く医療保険が終身医療保険です。加入時の保険料だけで比較すると、定期医療保険よりも高くなりやすいものの、保険料は一定で変わりません。一生涯の医療保障を確保したい人におすすめです。

定期医療保険

病気やケガによる入院や手術に備える医療保険のうち、一定期間だけを保障する医療保険が定期医療保険です。保険期間は、1年、10年、15年など保険会社によっても異なりますが、加入時から一定期間だけを保障するため、終身医療保険よりもお手頃な保険料で加入できます。同じ保障内容で更新する際には健康状態の告知なしで更新できます。ただし、更新のたびに保険料が上がっていくことと、一定年齢に達すると更新ができなくなることには注意が必要です。

女性保険

女性専用に作られた医療保険を女性保険ということがあります。医療保険に限らず、少額の死亡保険がついていることもあります。女性に向けた保障を充実させている分、一般の医療保険よりも保険料は高い傾向があります。

引受基準緩和型医療保険

告知項目を減らして、持病や入院歴がある人でも入りやすく設計された医療保険です。通常の医療保険と同じく、入院給付金や手術給付金はありますが、加入後一定期間は、給付金額を削減する「支払削減期間」が設けられている場合があります。入りやすさだけでなく、給付についても注目しておきましょう。また、入りやすさを重視している分、一般の医療保険よりも保険料は高めとなっています。

無選択型医療保険

医師の診査や告知を無くして、引受基準緩和型保険よりもさらに入りやすさを重視した医療保険です。入りやすい分、保険料がより高めとなっているほか、給付金の支払い条件が厳しく設定されている点には注意が必要です。

医療保険の特約の種類

保険は主契約と特約から成り立っています。主契約は保険の柱となる部分で、多くの医療保険では、入院給付金や手術給付金を主契約としています。特約は、その主契約に上乗せする保障です。特約をたくさんつけるほど保障内容は充実しますが、その分保険料も上乗せされていきます。ここでは主だった特約についてご紹介します。

先進医療特約

厚生労働大臣が定めた先進医療を受けるときに、この技術料相当額が支払われる特約です。がんの重粒子線治療や陽子線治療は、先進医療の中でも自己負担額が高額となりますが、この特約を付けておくと保障範囲内でカバーされます。

通院特約

病気やケガで入院した後、退院後も通院治療が必要となった時に、通院回数に応じて給付金が支払われます。入院する原因となった病気やケガで、入院前に通院していた期間も対象としている場合もあります。

女性疾病特約

女性特有の病気(乳がん、子宮がん、子宮筋腫など)に、手厚く対応できる特約です。女性特有の病気で入院した場合には、通常の入院給付金に加えて、女性疾病入院給付金が支払われます。

がん入院特約

がんで入院した時に入院給付金が支払われます。がん入院給付金に、がん診断給付金やがん手術給付金などを加えて「がん特約」としている保険もあります。

特定疾病保障特約

がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3大疾病で所定の状態になった場合に、特約から保険金が支払われます。3大疾病保障特約という名称で取り扱われることもあります。

医療保険の選び方

主契約に注目して比較する

医療保険を選ぶ際には、最初に主契約となる入院給付金や手術給付金に注目して、検討していきましょう。入院給付金の金額や支払い日数、手術給付金の金額などの条件をそろえて比較すると、保険商品ごとで保険料の差も見えやすくなります。

特約に注目して絞り込む

続いて、気になる特約がつけられる保険をいくつか選んでいきます。同じ名称の特約でも、給付金額や支払い条件が異なるので、細かく見ていきましょう。魅力的だと思うものをいくつか抜き出しましょう。

保障内容と特約を含んだ保険料のバランスで選ぶ

最後は、特約を含んだ保険料と保障内容全体を見比べます。保障の手厚さが魅力的なもの、保険料の安さが魅力的なものなどいろいろあると思います。最後は自分が保険にかけられる予算とも見比べて、保障内容と保険料のバランスで納得感があるものを選びましょう。

たくさんの種類がある医療保険ですが、柱となる主契約を同じ条件でそろえて比較すると、違いが分かりやすくなります。特約もさまざまな種類がありますが、自分が気になる病気や保障に絞ることで自分に合った医療保険を備えることが可能です。保障内容や保険料などを検討して総合的に納得のいくものを選びましょう。

ライター

氏家祥美(うじいえよしみ)

ファイナンシャルプランナー

ハートマネー代表

お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。

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