保険お役立ちコラム

老後、医療保険は見直しが必要?定期医療保険の期限が来たら、加入しなおすべき?

公開日:2021/06/14

※本記事についてのご注意

老後のマネープランを考える時、医療費は大きく家計を左右します。老後の医療費負担に対して、貯蓄で備えるのか、医療保険で備えるのか、どちらがいいのでしょうか。現在、定期医療保険や会社の団体保険などに加入している人の老後の医療保険の考え方をお伝えします。

老後や定年退職を意識する年齢になってくると、定年後も現在加入している医療保険をこのまま続けられるのか不安を感じる人もいるでしょう。

たとえば、勤務先の団体保険で医療保険や死亡保険に加入している場合、団体割引が適用されてお手頃な保険料で加入できていることも多いのですが、会社を離れるとその保険を続けられなくなる場合があります。定年退職を迎える頃は、年齢も上昇して何らかの健康上の不安を抱える人も多くなります。その時に医療保険が無くなってしまうことを不安に感じる人は多いのではないでしょうか。

そのほか、各都道府県や生協などの共済に加入する人も注意が必要です。共済は、同じタイプの共済保険であれば年齢を問わず一律の保険料で加入できます。そのため、若者よりもどちらかというと年齢が高い人にとってお得感があります。ただし、65歳以降、年齢上昇に伴って加入できる保障金額が小さくなることがありますし、一定年齢に達すると更新ができなくなることもあります。現在の保障が何歳まで続くのか、何歳まで契約を更新できるのかを確認しておくといいでしょう。

民間の医療保険の場合、終身医療保険に加入している人は保障が一生涯続きます。保険料が途中で上がることもありません。終身医療保険を終身払いで契約した人は保険料の支払いが一生涯続きますが、60歳払込、65歳払込などの短期払いを選択していた人は、その年齢に達すると保険料の支払いが終了し、保障だけは一生涯維持できます。

同じく民間の医療保険でも、定期医療保険に加入している人は、少し注意が必要です。定期医療保険は、1年間、10年間など一定の保険期間を定めて保障し、更新を繰り返していく保険です。既往症を抱えていても更新時期がくると告知不要で更新できるというメリットがあるため、現役時代は使い勝手がいい保険ですが、一般的に、一定の年齢に達すると更新できなくなり、更新を迎えるたびに保険料も上昇していきます。

こうしたことを考えると、定年退職をした後は医療保険が必要ないとはっきり割り切れる場合を除いては、定年退職以前に、終身医療保険に加入し直した方がいいでしょう。なお、終身医療保険の保険料は、加入時の年齢に応じて上昇します。定年退職を迎えてから加入すると保険料が高くなりますので、40代や50代前半など、定年にはまだ時間的余裕がある年代で終身医療保険に見直しておく方が、一ヶ月当たりに支払う保険料負担が軽くなります。

高齢になるにしたがって病気になりやすくなる

図表1と図表2は、厚生労働省が発表している年代別、がんの罹患率のデータです。図表1が男性のデータ、図表2が女性のデータとなっています。男性のがん罹患率は、50歳代から右肩上がりになっていることに気がつくでしょう。女性の場合には、乳がんの罹患率が40代前半まで急激に上昇しそれ以降は横ばい状態になっていて、子宮がんの罹患率は50代をピークに以後は減少傾向にあります。ただし、大腸、肺、胃などの部位では、男性同様に50代以降右肩上がりに増加していることがわかります。

図表1「年齢階級別がんの罹患率(人口10万対)上位5部位 男性」

図表2「年齢階級別がんの罹患率(人口10万対)上位5部位 女性」

続いて、厚生労働省「患者調査(令和2年(2020)患者調査の概況)」より、受療率を調べてみました。受療率とは人口10万人に対する医療を受けた人の割合で、ここに示した受療率は外来と入院を両方含んだデータです。男女とも、年齢が上昇するほど医療を受ける割合が上昇していくことがわかります。若い頃よりも高齢になった時の方が医療不安は高まることを覚悟しておきましょう。

図表3「性・年齢階級別にみた受療率(人口10万対)

医療保険を選ぶ際に知っておきたいのが、公的医療保険の制度です。70歳未満の場合、公的医療保険の自己負担割合は原則3割負担ですが、70歳以降は自己負担割合が変わっていきます。

厚生労働省の資料によりますと、昭和48年から老人医療費が無償化され、70歳以上の老人医療費が全国的に無償化されました。その後昭和58年に老人保健法が制定されて一部負担金(通院は月に400円、入院は1日300円)が徴収されるまで、高齢者医療の無償化は続きました。

このように、老人医療費がかからない時代であれば、現役時代に定期医療保険に加入しておき、更新ができなくなる高齢期には医療保険に加入しないという選択は賢い選択だったと言えるでしょう。しかし、近年、高齢者を取り巻く公的医療保険の制度は、急速な少子高齢化を受けて大きく変化しています。

70歳以降、変わっていく自己負担額

(1)健康保険の自己負担額

図表4は、公的医療保険(健康保険)の窓口負担割合を年齢別に示したものです。6歳未満(未就学児)は2割、6歳から69歳までは3割負担です。70歳~74歳の場合は2割、75歳以上は1割負担になります。しかし、70歳以上からでも、現役並みの所得がある場合は3割負担となり、75歳以上の一定以上の所得者は2割負担となります。

図表4「医療費の自己負担額」
対象年齢 一般所得者等 一定以上所得者 現役並み所得者
75歳以上 1割負担 2割負担 3割負担
70歳以上75歳未満 2割負担
6歳以上70歳未満 3割負担
未就学児 2割負担

(2)後期高齢者医療制度

75歳以上になると、それまでの働き方などに関係なく、原則として「後期高齢者医療制度」に移行し、医療費での自己負担割合も原則1割になります(※1)。ただし、75歳以降でも、現役並みの所得がある人は現役世代と同じ3割負担、一定の所得がある方は2割負担になります。

  • ※1 65歳以上で一定の障害がある方も、申請をして認められると後期高齢者医療制度へ移行することができます。

(3)高額療養費制度の自己負担割合

1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合に超過分を払い戻す「高額療養費制度」があります。公的医療保険であれば、国民健康保険でも、職域の健康保険組合や協会けんぽ、公務員等が加入する共済組合等でも利用できます。

70歳以上の一般所得者の場合、1ヶ月の医療費自己負担の上限額は、個人ごとの外来の場合18,000円。入院をした人がいた月は、外来もあわせて世帯で57,600円となっており、現役世代と比べると自己負担限度額が低めに抑えられています。ただし、70歳以上でも現役並みの所得がある人は、現役世代と同様に所得に応じた自己負担をすることになっています。

図表5「70歳以上の高額療養費自己負担限度額」
適用区分 1ヶ月の自己負担上限額(世帯ごと)
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯)
現役並みⅢ 252,600円+(医療費-842,000)×1%
※多数該当 140,100円
現役並みⅡ 167,400円+(医療費-558,000)×1%
※多数該当 93,000円
現役並みI 80,100円+(医療費-267,000)×1%
※多数該当 44,400円
一般所得者 18,000円
※年間上限144,000円
57,600円
※多数該当44,400円
低所得者Ⅱ 8,000円 24,600円
低所得者Ⅰ 15,000円
  • ※ 参照 全国健康保険協会「高額療養費 70歳以上75歳未満の方 平成30年8月診療分」
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31709/1945-268/
  • ※ 同じ世帯で同じ月に21,000 円以上の自己負担が複数あった場合や、1人で同じ月に2つ以上の医療機関でそれぞれ21,000円以上の自己負担があった場合には、「世帯合算」とする。
  • ※ 同じ世帯で1年間に3回以上高額療養費を受けた場合は、4回目からは「多数該当」として負担が軽減される。

終身医療保険は、保障が一生涯続く医療保険です。老後もずっと医療保険を備えておきたいと考える人には、終身医療保険が向いていると考えていいでしょう。終身医療保険の保険料は加入時に決まり、その後保険料はずっと変わりません。そのため、若いうちに加入していれば老後も若い時と変わらない保険料で保障を維持することができます。

終身医療保険が向いていない人は、今後保険を見直す可能性が高い人です。今後、医療技術の進歩や社会保険制度の見直しを受けて、新しい医療保険が出てきたときに、新しい保険に切り替えたいと考えているのであれば、終身医療保険よりも定期医療保険を選んでおいた方が、定期的に保険を見直す機会が増えるでしょう。

  • ※ 更新型の特約を付加している場合、更新される度に特約保険料が上がるので支払う保険料が上がります。特約も終身型か確認しましょう。

定期医療保険は、加入後、本人が解約等を申し出ない限り、基本的には自動更新を繰り返していきます。ただし、定期医療保険の加入年齢には上限が設けられているため、この自動更新も一生にわたって繰り返せるわけではありません。

ギリギリまで定期医療保険を更新していき、その後は貯蓄を取り崩していくという考え方もありますが、高齢になるほど受療率が上昇していくことはすでにお伝えしました。また、現役並みの所得がある人は、現役世代同様の医療費の自己負担も3割となる場合があります。

現在、定期医療保険に加入している人は、気づいたタイミングで終身医療保険に加入し直しておくと、老後も医療保険を確保できます。

高齢者の公的医療保険制度が近年変わってきています。現役並みの所得がある高齢者の場合、75歳以上でも現役世代と同じ3割負担をすることになっています。現在、定期医療保険や会社の団体保険、共済などに加入している人で、老後の医療保険の必要性を感じる人は、早めに終身医療保険の加入を検討しましょう。

ライター

氏家祥美(うじいえよしみ)

ファイナンシャルプランナー。ハートマネー代表。

お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。

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