保険お役立ちコラム

医療保険とは?仕組みや種類、入院負担からみた必要性を解説

更新日:2022/09/16

※本記事についてのご注意

病気やケガに備えるために医療保険への加入を検討する方は多いと思います。しかし「医療保険について実はよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。医療保険の基本的な知識を身につけることで、自分にとって本当に必要な保障を判断することができるようになります。

ここでは医療保険の概要と、種類や特徴をわかりやすく解説します。また、公的医療保険では補えない部分を支える民間の医療保険の必要性や、加入すべきケースなどもあわせてご紹介します。

医療保険は、万一の病気・ケガ・入院・手術などに備える保険です。入院や手術をした際、公的医療保険によって医療費の自己負担分を支払うことになりますが、民間の医療保険に加入していた場合には、後日、保険会社より入院日数や手術の内容に応じて給付金が支払われるという仕組みです。

医療保険は、国の社会保険制度の1つである「公的医療保険」と、この公的医療保険の保障だけではカバーできない部分を補うために民間の保険会社が販売する「民間医療保険」という2種類に大きく分けられます。

図表1「日本の医療保険の種類」
種類 公的医療保険 民間医療保険
保険者
(運営機関)
国・都道府県・市区町村・
勤務先の所属健康保険団体など
保険会社

では、それぞれについてさらに詳しく解説していきましょう。

公的医療保険とは、皆さんが医療機関を受診する際に「健康保険証」の提示で適用される保険制度のことです。まずはその仕組みから説明しましょう。

こちらの記事もどうぞご覧ください。

公的医療保険の概要

日本では「国民皆保険制度」という社会保険方式により、国民全員が公的医療保険に必ず加入することになっています。国内在住の場合、通常は出生届と同時に扶養者(親)が入っている公的医療保険へ加入することになります。公的医療保険は「被保険者が保険者(運営機関)へ保険料(掛金)を毎月支払うことで、被保険者が病院などの医療機関を受診した際には医療費の一部を保険者(国や各健康保険組合)が負担してくれる」という仕組みです。

公的医療保険の種類

公的医療保険は、職業や年齢によって以下の3種類に分けられます。

図表2「公的医療保険の種類」
種類 国民健康保険(国保) 被用者保険 後期高齢者医療制度
対象者 自営業者・年金生活者・
パート・アルバイトなど
会社員・公務員・
その家族
原則75歳以上の方
保険者 居住の都道府県や
市区町村
勤務先の所属する
健康保険団体
居住の都道府県の
広域連合
保険料 被保険者が全額負担 労使折半 公的年金より天引

「国民健康保険」は、主に自営業者・年金生活者・パート・アルバイトの方などが入る公的医療保険です。居住の都道府県や市区町村が保険者として運営していることから「地域保険」と呼ばれることもあります。

「被用者保険」は、企業に勤める方や公務員の勤務先の所属する健康保険団体が保険者となっている公的医療保険です。会社員・公務員・その家族が対象となっていて、中小企業の場合は全国健康保険協会(協会けんぽ)、大企業の場合は健康保険組合、公務員では共済組合が該当します。保険料の半額は勤務先が負担してくれるのが特徴です。そのため、被保険者の保険料負担は、実際には半分のみで済むことになります。

「後期高齢者医療制度」は原則75歳(一定の傷害がある方は65歳)以上の方が入る公的医療保険で、保険者は都道府県の広域連合です。保険料は都道府県ごとの医療費水準に合わせて決まります。

医療費負担割合

医療機関を受診した場合、公的医療保険制度により窓口で支払う医療費は一部負担で済みます。その負担割合は、年齢や所得によって以下のように決まっています(図表2の3種類の公的医療保険に共通)。

図表3「医療費の自己負担割合」

医療費の自己負担の割合は、6歳未満は2割、6歳から69歳までの方は3割、70歳から74歳までの方は2割、75歳以上では1割です。ただし70歳以上であっても、現役並みの所得がある場合には3割負担、75歳以上ですと、一定以上の所得者は2割負担になります。

高額療養費制度

医療費の自己負担分が生活を圧迫し過ぎないために設定されているのが「高額療養費制度」です。同じ月内に同じ医療機関における窓口での医療費の自己負担金が、定められた限度額を超えた場合、その超えた部分について保険者より「高額療養費」として支給されます。「窓口での自己負担金が限度額を超えると、後ほど勤務先の保険組合からその部分が返金される」というイメージです。

自己負担限度額は被保険者の所得により計算方法が異なります。70歳未満で年収が約370万円から約770万円(3割負担)の場合を例に挙げてみましょう。入院や手術により、同じ月内に同じ医療機関にて窓口での支払いが30万円だった場合、自己負担限度額は以下のように算出されます。ちなみに3割負担ですので「全体の医療費としては100万円かかっていた」ということが分かります。

図表4「高額医療費制度の概要(例)」

民間医療保険は、保険会社などの民間の会社が販売・運営している医療保険です。必ず入る公的医療保険とは異なり、民間医療保険はさらに医療保障が必要だと考える方が入るものとなっています。

こちらの記事でも詳しく解説しています。

民間医療保険の概要

民間の医療保険は、公的医療保険だけでは不足する部分をカバーしてくれる役割を担う存在であり、「さらなる保障が欲しい方が任意で加入するもの」という位置づけです。

民間医療保険で得られる保障の主契約は「入院給付金」と「手術給付金」です。その他、がんや3大疾病などに関する特約を付加できる医療保険もあります。民間医療保険に加入していて病気やケガによる入院や手術などをした場合、医療費の自己負担額の一部として、保険会社より入院給付金や手術給付金が支払われる仕組みです。

民間医療保険の種類

民間の医療保険は、「保険期間」「保険料の支払期間」「掛け捨て型 or 貯蓄型」「支払限度日数」という4つのポイントによって種類を分けることができます。

(1)保険期間

保障が一生涯続く「終身医療型」と、10年・20年など一定期間の保障となる「定期医療型」の2種類があります。終身医療型は保険料が高い傾向にありますが一生涯保障され、定期医療型は保険料がお手頃に設定されていることがほとんどですが、更新時に保険年齢が上がることにより保険料もアップします。

(2)保険料の支払期間

主に「終身払い」と「短期払い」という2種類があります。生きている限りずっと保険料を支払い続ける「終身払い」は毎回の保険料はお手頃な設定となります。一定の期間内で保険料すべてを払い込む「短期払い」は、終身払いと比べると毎回の保険料は高くなりやすい傾向にあります。

(3)掛け捨て型 or 貯蓄型

掛け捨て型と貯蓄型の違いは「解約返戻金や満期保険金」があるかどうかです。お手頃な保険料設定の医療保険で多いのは掛け捨て型です。貯蓄型では掛け捨て型よりも保険料が高い傾向にありますが、中途解約や契約満期の際に、解約返戻金や満期保険金を受け取ることができます。

(4)支払限度日数

支払限度日数は1入院における入院給付金を受け取れる入院日数を定めています。60日型・120日型が多く、他にも30日型・180日型・360日型などさまざまです。
例えば、80日間の入院をした場合、120日型なら80日分の入院給付金を受け取れますが、60日型だと、60日分の入院給付金しか受け取れません。

また、保険期間を通じての入院給付金を受け取れる入院日数を定めた通算支払限度日数もあり、1,095日・1,000日・700日などさまざまです。

このように入院給付金の支払限度は、各保険会社や保険商品によって設定が異なります。民間の医療保険を選ぶ際には、自分に必要な医療保障の支払限度日数が設定されている商品を選ぶようにしましょう。

民間医療保険の特約

前述の通り、民間の医療保険の主契約は入院給付金・手術給付金ですが、下記のような特約を付加し保障を手厚くすることも可能です。

図表5「医療保険の特約の種類(例)」
特約の種類 保障内容
先進医療特約 厚生労働大臣が定めた「先進医療」により治療を受けた場合、
先進医療給付金や先進医療一時金を受け取れる
3大疾病特約 がん・急性心筋梗塞・脳卒中のいずれかで療養した場合、
3大疾病入院給付金等が受け取れる
がん特約 がんで入院や手術などの療養を受けた場合、
がん入院給付金やがん診断給付金等が受け取れる
女性疾病特約 女性特有の病気(乳がん・子宮がんなど)で療養を受けた場合、
女性疾病入院給付金等が上乗せされる
通院特約 病気やケガによる入院後に通院した場合、通院給付金が受け取れる

保険会社や保険商品によっては、複数の特約を付加することができる場合もあります。

高額療養費制度を含め、公的医療保険の保障内容を知ると「公的医療保険があるから民間の医療保険に入る必要はない」と考える方も多いかもしれません。しかし実際には以下のような理由があることから、公的医療保険に加えて民間の医療保険への加入もおすすめします。

医療保障に備える人は多い

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、生命保険を利用して医療保障に備えている方の割合は年々上昇しており、令和元年度には70%以上にものぼることが分かります。

「疾病」とは病気のことであり、「疾病給付金」とは病気の治療で入院をした場合に保険会社より支払われる給付金になります。疾病給付金は、入院日数に応じて受け取ることができます。

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(※)」によると「疾病入院給付金の支払われる生命保険加入率(全生保)」は73.1%となっています。このことからも、疾病入院給付金が支払われる生命保険(医療保険を含む)へ加入し、突然の入院などに備えるのが一般的となっているといえるでしょう。

公的医療保険の適用外になるケースに備える

入院治療時にかかる以下のような費用は公的医療保険の適用外となっており、全額自己負担となります。民間の医療保険に加入している場合には、給付金をこれらの出費に充てることが可能です。

  • ●差額ベッド代
  • ●公的医療保険の対象外の診療
  • ●通院時の交通費
  • ●遠方の方が通院治療を受ける際の宿泊費
  • ●保険請求のための書類作成費用など

入院時の負担は大きい

ケガや病気による入院は突然やってくるものです。そして入院時には収入がストップしたり、少なくなったりすることに加え、上記で説明したような部分は公的医療保険の適用外となり、費用も掛かります。生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」によれば、過去5年間に入院経験のある人の費用についての調査結果は以下のようになっています。

図表6「過去5年間に入院経験のある人の入院日数や費用」
平均入院日数 15.7日
自己負担費用と逸失収入の平均総額 30.4万円
1日あたりの自己負担費用と逸失収入の平均総額 28,400円
  • ※逸失収入=入院により働けなくなるなどして減った収入

下図のように、1日あたりでは平均28,400円、中でも2割以上のケースで40,000円以上も掛かることが分かります。現実的に考えて、突然の入院などによる医療費を貯蓄のみでまかなうのは難しい可能性があるのです。

図表7「直近の入院時の1日あたりの自己負担費用と逸失収入の総額」
(集計ベース:過去5年間に入院し、逸失収入があった人)
  • ※ 直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の合計
    自己負担費用が無い場合、逸失収入が無い場合は「0円」として平均を算出

民間の医療保険に入ることをおすすめしたいケースを具体的にご紹介しましょう。

健康な状態である

公的医療保険は健康状態に関わらず加入必須であるのに対し、民間の医療保険は基本的に健康な方が加入し、万一のために備えるものです。加入の際には自分の健康状態について知らせる「告知義務」、または健康状態を確かめる医師の「診査」を受けます。

既往歴がある場合にはその病気治療に関する給付金が受け取れないなど、加入に際して条件が付加される、あるいは加入自体ができない可能性もあります。民間の医療保険には健康なうちに加入しておくのがベストです。

妊娠前である

公益社団法人「国民健康保険中央会」の統計情報によると、正常な分娩の際にかかる出産費用の全国平均は505,759円(平成28年度)となっています。分娩料の他、入院料・新生児管理保育料・検査薬剤料などが含まれ、原則として退院時に一括で支払うことになります。

正常分娩の際には保険の適用となりませんが、国民健康保険や被用者保険から出産育児一時金(42万円)が支給されますので、実際には約8割をカバーすることができます。ただし注意したいのは「出産育児一時金の支給は申請より1ヶ月後から」という点でしょう。

帝王切開(予定帝王切開を含む)などの異常分娩となった場合には、公的医療保険が適用されます。例えば緊急帝王切開では診療報酬点数は22,200点、予定帝王切開では20,140点ですので、「1点=10円」で計算してその3割となると、自己負担額はそれぞれ以下のようになります。

  • 「緊急帝王切開時の自己負担金額」
  • 22,200点×10円×30%=66,600円
  • 「予定帝王切開の自己負担額」
  • 20,140点×10円×30%=60,420円

入院時の食事代や差額ベッド代、新生児管理保育料などは、異常分娩の場合でも公的医療保険の適用となりません。上記の自己負担分と合計して10万円前後は自己資金で準備しておく必要があります。

出産の形態は一人ひとり違いますので、費用で慌てないためにも妊娠前に民間の医療保険へ入っておくのが良いでしょう。

家族が増える予定がある

子どもが生まれると、高校や大学までの教育費や、マイホーム購入といった住宅費など支出が増えていきます。これにともない家計の負担が大きくなるので、収入を支える基盤となる身体の健康維持のために、医療費を準備しておく必要性が高まります。家族が増える予定がある方は早めに民間の医療保険へ加入しておくと安心です。

貯蓄に不安がある

「収入が少ない」「現在の貯蓄額に不安がある」という方にも民間の医療保険はおすすめです。特に独身の方では、先ほどご紹介した「入院時に公的医療保険の適用外となる費用」に備える必要があるでしょう。また、自営業や個人事業主の方は、自身がケガや病気で働けなくなったときに無収入となってしまう可能性がありますので、民間の医療保険で万が一のための医療費を備えておきましょう。

公的医療保険は日本国民にとってとても助かる仕組みではありますが、入院中の差額ベッド代や、厚生労働大臣が定めた「先進医療」を受けた場合などには、公的医療保険の適用外となってしまいます。病気やケガは思わぬときにやってくるものです。加入しやすい健康なときにこそ民間の医療保険に入り、万が一のときの大きな出費に備えましょう。

ライター

是枝花名子(これえだ かなこ)

ファイナンシャルプランナー

大学卒業後、大手生命保険会社にて法人営業を担当。
通信会社にて勤務(データ解析)、国立・公立施設にて英語通訳受付としての勤務経験も持つ。
住宅ローンの繰り上げ返済、子どもの教育資金や老後資金作りを極めるため、改めてFP技能士を取得。
専門知識と主婦目線を活かした記事執筆が好評を呼び、
現在は主にメガバンク、大手不動産サイト等にて保険・不動産・翻訳ライターとして活動中。

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