保険お役立ちコラム
目次
日帰り手術(外来手術)とは
日帰り手術(外来手術)とはどのようなものを指すのでしょうか。日帰り入院と通院との違いとともに解説します。
日帰り手術とは
日帰り手術とは、入院、手術、退院をすべて同じ日に行なうことを指します。医療技術の進歩に伴って、手術の種類によっては日帰り手術が可能になりました。
日帰り入院と通院の違い
日帰り入院は、入院日と退院日が同一の入院のことを指します。例えば、早朝に搬送されて緊急入院したものの、容態が落ち着いたために、夕方に退院した場合などが考えられます。通院とは、外来や往診によって医師の治療や診察などを受けることを指します。外来のベッドで点滴や透析を行なうだけなら通院であり、入院にはなりません。
日帰り入院と通院は、病院が発行する領収書で判断できます。日帰り入院では入院料の支払いが必要になるため、領収書の「入院料等」の欄に診療報酬の点数が書かれています。
日帰り手術で医療保険の手術給付金は支給される?
日帰り手術でも医療保険の手術給付金は支給されるのでしょうか。ここでは、支払い対象となる日帰り手術とならない日帰り手術の詳細を解説します。
支払い対象となる日帰り手術
白内障や緑内障などの眼科手術、鼠径部ヘルニア根治手術、痔核根治手術、大腸や胃のポリープ手術などは、その症状や手術法などにもよりますが、日帰りで手術できる可能性があります。このような場合、日帰り手術を保障している医療保険に加入していれば、手術給付金を受け取ることができます。
近年は日帰り手術を対象にしている医療保険が増えていますが、日帰りで受ける手術が少なかった頃に加入した医療保険の場合、保障の対象外となる可能性があります。保険会社、保険の種類、加入した時期などで保障内容は異なりますので、約款等で確認しておきましょう。
支払い対象とならない日帰り手術
美容外科手術のように治療を目的としない手術や、創傷処理や抜歯手術などの軽微な手術については給付金支払いの対象から除外されている傾向があります。支払い対象外となる手術は各保険会社によって異なりますので、手術を受ける際などはあらかじめ保険約款を確認しておきましょう。
日帰り手術でいくら貰える?民間の医療保険の給付金
手術給付金は「入院給付金日額×給付倍率」が支払われます。入院給付金日額は、入院1日当たりに支払われる金額で、高く設定するほど保険料が上昇する傾向にあります。つまり、手術給付金の受け取り額は、入院給付金日額や保険料と連動する傾向になります。
手術給付金の給付倍率とは?
手術給付金額を決めるもう1つの要素に、給付倍率があります。医療保険では、約款などで手術給付金の対象となる88種類の手術が定められている場合、手術の難易度などによって、給付倍率が10倍、20倍、40倍といった形で定められています。
公的医療保険の対象となる手術かどうかで、手術給付金の対象を決めている医療保険もあります。その場合、公的医療保険の適用対象であれば、手術給付金が支払われます。さらに、入院中に受けた手術は「入院給付金日額×10倍」、それ以外の手術の場合は「入院給付金日額×5倍」となっています。
貰える手術給付金の例
アクサのネット完結終身医療保険には、手術給付金を支払うⅠ型があります。約款には、Ⅰ型の場合「入院中手術の場合は入院給付金日額×10倍」、「入院外手術の場合は入院給付金日額×5倍」と書かれています。この保険にⅠ型の入院給付金日額5,000円の契約で加入している方が日帰り手術をする場合には、「5,000円×5倍=2万5,000円」の手術給付金を受け取ることができます。
日帰り手術の手術給付金を保険会社に請求する方法
保険会社への請求の方法は、インターネット上で手続きが完了する場合と、電話や書類で請求する方法があります。手術を受けることが決まったら、早めに保険会社に請求方法の詳細を確認して段取り良く進めることで、給付金を早く受け取れるようになります。
インターネット上で請求する
インターネット環境がある方は、生命保険会社のWebサイトから、保険金・給付金請求のページを開きましょう。時間帯や曜日にかかわらず24時間いつでもアクセスでき、書類を郵送する手間が減らせるので給付金を受け取るまでの時間短縮につながります。
インターネットで請求をする場合、必要書類をすべて揃えてから、インターネット上の給付金請求ページにアクセスするとスムーズに手続きができます。入院給付金や手術給付金を請求する場合には、担当医師による「診断書(入院・手術等証明書)」と、手術を受けた被保険者本人が記入する「給付金の請求書」入院・手術状況報告書)」、かかった医療費や診療報酬などが分かる「領収書」や「診断明細書」などが必要になります。
用意した必要書類のデータを送付することで、書類の郵送が不要になります。今回請求する保険の証券番号や、給付金の振込口座情報などもあわせて用意しておきましょう。
なお、インターネットによる請求を受け付けていない保険会社もあります。また、インターネット請求ができる保険会社でも、加入している保険の種類やその他の条件によって、書類の郵送が必要になる場合もあるので注意しましょう。
電話や書類で請求する
手術給付金の請求については、インターネット上での問い合わせ窓口、電話での問い合わせ窓口があります。問い合わせや必要書類のダウンロードはインターネット上のお客様ページで行えるものの、給付金請求の手続きは郵送で行う場合もあります。
電話での問い合わせは、直接オペレーターに質問できるというメリットがあります。一方で、対応可能な時間や曜日が限られることが多く、電話が混み合っていてなかなかつながらないこともあります。時間に余裕をもって、早めに問い合わせをするようにしましょう。
電話で問い合わせする際にも、加入中の保険証券番号、受ける手術の概要などの情報、質問事項をあらかじめ整理しておきましょう。
請求に必要な書類を用意する
給付金請求の際には、手術内容等を証明するために、診断書を保険会社に提出する必要があります。保険会社所定の用紙がある場合には、あらかじめ保険会社から用紙を取り寄せておくと、段取り良く進められます。
また、保険会社や手術の内容によっては、必要事項が書かれていれば病院や他の保険会社の用紙でも可能な場合や、領収書などもコピーで可能な場合があります。
給付金請求の注意点
手術を受けても必ず手術給付金を受け取れるとは限りません。あらかじめ手術給付金の受け取り条件にあっているかを確認しておきましょう。
給付金の受け取り条件を確認する
病院の診療明細書や領収書の手術の欄と入院の欄に、診療報酬もしくは金額が書かれているかを確認します。入院の欄に点数や金額が書かれていれば、日帰りで受けた手術でも、入院して受けた手術と判断される可能性があります。明細を見てもよくわからない場合には、病院の窓口等で確認しておきましょう。
なお、日帰り手術に対応していない医療保険に加入している場合には、そもそも日帰り手術では給付金がもらえません。手術することが決まったら、あらかじめ保険会社に連絡をして、日帰り手術でも保障対象となるのかを確認しておくことも重要です。
保険会社へ期限内に請求する
日帰りで手術を受けた方の中には、手術給付金の請求を忘れていた方もいるかもしれません。生命保険では、給付金の請求期限を「権利を行使できるときから3年」と定めており、保険会社はこれに従っています。請求をあきらめていた方や忘れていた方も、権利を行使できるときから3年以内であれば問い合わせをしてみましょう。
短期入院や通院費を保障する民間の医療保険の必要性
近年は医療技術の進歩により、入院日数の短期化や日帰り手術が増加しています。
令和2年(2020)患者調査の概況によると、令和2年における退院患者の平均在院日数は病院が33.3日、一般診療所が19.0日となっています。昭和62年には病院が47.3日、一般診療所が26.0日だったことと比較すると、入院日数が短期化したことが分かります。それに伴い、術後は通院で経過観察や治療を行われる傾向にあります。これは、昨今の医療技術の進歩により、入院の短期化や日帰り手術などの技術が出てきたためといえるでしょう。
入院日数が短期化し、通院が増えたといっても医療費の自己負担額は依然として高い可能性があります。ひと昔前の民間の医療保険の中には「5日目の入院から」という免責期間が設けられているものがありますが、それより短い入院では給付金が受け取れません。入院日数の短期化を考えると、短期の入院や通院にかかる医療費を保障してくれる保険に加入しておくと安心です。
- ※ 参照 厚生労働省 「令和2年(2020)患者調査の概況 」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/heikin.pdf
日帰り手術も民間の医療保険で備える
入院日数の短期化傾向に伴って、民間の医療保険も変化をしています。かつてよく販売されていた保険の中には、180日や360日など長期入院に対応しているものの、入院5日目からを入院給付金の対象としているものがありました。最近の医療の傾向を見ると、日帰り入院、日帰り手術に備えられる医療保険のほうが実態に即しています。日帰り手術が保障されていない医療保険に古くから加入している方は、日帰り手術も対象とする保険に早めに見直しておきましょう。
- ※ 当記事は著者個人の見解・意見によるものです。
- ※ 当記事の内容は作成日現在公表されている情報や統計データ等に基づき作成しており、将来予告なく変更されることがあります。
- ※ 当記事で書かれている保険の内容には、アクサのネット完結保険では取り扱いのない商品や手続きがございます。
- ※ アクサのネット完結保険の保険商品の詳細につきましては、重要事項説明書/ご契約のしおり・約款を必ずご覧ください。
- ※ 当記事を参考にご加入中の生命保険の見直し・解約をされる際には、以下3点にご留意ください。
- ① 一度解約した生命保険契約はもとには戻らないこと。
- ② 解約返戻金は解約するタイミングによって、払込保険料の合計額よりも少なくなる場合があること(解約返戻金がない保険商品もあります)。
- ③ 健康状態によっては新たに保険に加入できなかったり、加入できても保険料の増加や一部の保障が対象外になるなど特別条件付きの契約となる場合もあること。
- ※ 個別の税務等の詳細については税務署や税理士等、専門家にご確認ください。
ライター
氏家祥美(うじいえよしみ)
ファイナンシャルプランナー
ハートマネー代表
お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。