保険お役立ちコラム
「糖尿病で治療中だと生命保険に加入したくてもできないのでは?」と考える方も少なくないかもしれません。糖尿病を含め何らかの既往歴があると、通常の保険に入るのは難しくなるのは事実です。ただし、病気の種類によっては加入が可能な保険もありますし、糖尿病でも入れる保険はあります。
今回はそんな不安を抱えている糖尿病の方へ、糖尿病の種類別に生命保険に加入できる可能性を解説します。また、糖尿病でも入れる保険や選び方のポイントなどについてもご紹介しますので参考にしてください。
目次
糖尿病とは
糖尿病への備えについて考える前に、糖尿病とはどんな病気なのかを理解しておきましょう。厚生労働省が生活習慣病予防のために公開している健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、糖尿病について以下のように解説しています。
インスリンの作用不足により高血糖が慢性的に続く病気。網膜症・腎症・神経障害の三大合併症をしばしば伴う。
糖尿病は、インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下してしまうため、高血糖が慢性的に続く病気です。
重症になると血液中の糖が尿にあふれ出ることで甘い匂いがするためその名がありますが、診断は尿糖ではなく空腹時血糖や75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)などの血液検査によって行われます。
1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型はインスリン依存型とも呼ばれ、自己免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊されるもので、インスリンの自己注射が必要です。一方で2型はインスリン非依存型と呼ばれ、遺伝的要因に過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症します。その他の特定の疾患や機序(メカニズム)によるものや妊娠糖尿病がありますが、多くは2型であり、日本ではその疑いがある人(可能性を否定できない人を含む)は成人の6人に1人、約1870万人にのぼっています。
糖尿病の恐さは、自覚症状のないままに重篤な合併症が進展することで、微小な血管の障害である網膜症・腎症・神経障害の三大合併症のほか、より大きな血管の動脈硬化が進行して心臓病や脳卒中のリスクも高まります。
生活習慣の改善によって糖尿病を発症する手前で防ぐ1次予防、たとえ発症してもあきらめずに血糖値を良好にコントロールして健康に生活する2次予防、さらに合併症の発症をくい止める3次予防がいずれも重要になってきます。
- ※ 出典 厚生労働省「e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-048.html
自覚症状がないままに重篤な合併症が進行していく糖尿病だからこそ、日頃から生活習慣の改善に努め、健康診断を受けて早期発見を心掛けましょう。
糖尿病でも生命保険に加入できる?
では、健康診断やかかりつけ医での診察で糖尿病だとわかった場合には、生命保険に加入できるのでしょうか。糖尿病の種類別に解説していきましょう。
1型・2型の場合
糖尿病1型・2型に罹患している場合、健康体の方よりも合併症を発症するリスクが高くなります。そのため、通常の死亡保険や医療保険への加入は難しくなりますが、保険商品によっては加入できるものもあります。
糖尿病という持病を抱えている場合の保険は、告知項目が通常の保険よりも少ない、引受基準緩和型保険への加入を検討するとよいでしょう。ただし、通常の死亡保険や医療保険よりも加入しやすいため、保険料が高い傾向にあることも理解しておきましょう。
保険の加入を検討するときには、各保険会社の告知要件をしっかり確認しましょう。1型・2型いずれの糖尿病であっても、糖尿病の合併症が告知事項(網膜症、腎症など)に含まれていなければ加入できる保険もあったり、糖尿病の合併症を発症していても加入できる保険商品もあったりします。保険料については、加入時はもちろんのこと、加入後についても確認しておきましょう。
アクサのネット完結保険の場合、糖尿病の所定の合併症がないなど引受基準緩和型保険の告知事項にクリアすれば、「はいりやすい医療(引受基準緩和型終身医療保険)」や「はいりやすい定期(引受基準緩和型定期保険)」に原則としてはお申込みができます。
※ただし職業やお申込み内容などを総合的に判断した結果、お引受けできないことがあります。
妊娠糖尿病の場合
保険商品によっては、妊娠糖尿病になってからでも加入できるものもあります。
また「妊娠中に妊娠糖尿病予備軍といわれた」「出産後に血糖値が戻っている」など、自分では判断がつきにくい状態の方もいるでしょう。保険会社によって審査基準は異なり、一人ひとりの状況も異なります。通常の保険に条件なし、または条件付きで加入できる可能性もありますので、保険会社に申込みや問い合わせをしてみるといいでしょう。
糖尿病がある方の生命保険加入の必要性
「令和2年(2020)患者調査の概況」を見ると、糖尿病で入退院した方の平均在院日数は30.6日間となっており、約1ヶ月間に及ぶことが分かります。入院日数は0歳~64歳では平均11日~16日です。年代が上がるにつれて長期化していき、65歳以上では平均40日以上となっています。糖尿病による入院費用には公的医療保険が適用されますが、自己負担もともないます。入院日数が長期化するにつれて自己負担も重くなっていくため、入院費用の支払いに不安がある方は生命保険への加入を検討しましょう。
図表1 「糖尿病による平均在院日数(年齢階級別)」
- ※ 参照 厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」
表6 疾病分類別にみた年齢階級別退院患者の平均在院日数
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/heikin.pdf
糖尿病は自覚症状が少なく、気づいたときには悪化していたというケースが多く見られる病気です。また、合併症やそのほかの病気やケガのリスクにも備えておく必要もあります。現在は糖尿病にかかっていないものの、将来的に糖尿病が心配だという方は生命保険や医療保険に加入しておきましょう。また、現在すでに糖尿病があるという人も、合併症やそのほかの病気やケガに備える必要があります。前述のとおり、糖尿病でも加入できる可能性がある保険商品で加入を検討しておきましょう。
どんな方が生命保険へ加入する必要があるのか、優先して加入しておくべきかなどの詳細を知りたい方はこちらも参考にしてください。
糖尿病の既往歴はきちんと告知する
糖尿病のある方が通常の死亡保険や医療保険に加入したいからといって、糖尿病の既往歴を隠して契約の申し込みをした場合はどうなるのでしょうか。
生命保険等に加入する際には過去の病歴、現在の健康状態、仕事内容などを保険会社に書面またはインターネット上で伝える「告知義務」が伴います。そのため、糖尿病のある方がその既往歴を隠して契約した場合は告知義務違反となり、責任開始日※より2年以内であれば保険契約が解除されることになります。もし、責任開始日より2年経過していても、その間に保険金・給付金が支払われていた場合には、保険会社は詐欺による取り消しを理由として契約を解除することが可能です。
告知をする際は自身の過去の病歴や健康状態などを正しく保険会社に伝えましょう。
すでに医師の診察を受けて病名がわかっている場合や、処方されている薬がある場合には、病院の診察券や領収書、お薬手帳など詳細がわかるものを用意しておくと、告知しやすくなります。
- ※ 責任開始日…契約申し込み、告知または診査、第1回保険料充当金払込の3つすべてが完了した日。この日から保険の保障が開始される。
糖尿病がある方の生命保険選びのポイント
糖尿病がある方が生命保険への加入を検討する際には、以下の3点を押さえて保険を選ぶようにしましょう。
糖尿病以外の病気やケガ、死亡のリスクに備える
既往歴があると、ついその病気の治療のみに注目してしまいがちです。そのほかの病気やケガによる入院や手術、死亡のリスクもゼロではありませんから、加入できる生命保険や医療保険で備えておきましょう。
糖尿病の入院や手術、合併症に備える
図表1で解説したとおり、糖尿病での入院期間は平均30.6日となっており、年齢によって平均日数は変わっています。糖尿病に備えるときは、自身の年齢や健康状態を考慮して医療保険を選びましょう。糖尿病の治療では、生活習慣の改善やモニタリングなどを継続させることが重要となるため、退院後にも通院治療が続くケースも少なくありません。入院給付金や手術給付金に加えて、退院後の通院を保障する通院給付金がついている保険だとより安心です。なるべく早期の治療を心掛け、合併症への進行を防ぎましょう。
保障内容と保険料のバランスを考える
生命保険や医療保険には、健康祝金特則などさまざまな特約が目に入ってきます。特約を多く付加すれば、保障の幅も広がり安心感は高くなりますが、保険料も高くなることに注意が必要です。自分の状況やニーズに保障内容が合っているか、保険料は予算内に収まっているかもしっかり確認するようにしましょう。
生命保険に加入できない方
糖尿病を含め過去に指定の病気を経験したことがあり、保険に加入する際の告知事項にあてはまる場合には、健康な方と同じ保険料での加入はできない可能性が高いです。なぜなら、既往歴のある病気により再入院となる可能性が、ほかの加入者よりも高いと判断されることから、生命保険のベースである「公平な相互扶助」に反することになるからです。
このような方におすすめなのが「引受基準緩和型保険」です。糖尿病をはじめ既往歴のある方が加入しやすい保険で、引受基準緩和型定期保険や引受基準緩和型終身医療保険などの種類があります。通常の定期死亡保険や終身医療保険よりも保険料が高い傾向にありますが、告知事項が少なく、既往歴のある方でも加入しやすい保険となっています。
アクサのネット完結保険の引受基準緩和型終身医療保険「アクサのネット完結はいりやすい医療」を例に挙げて、告知事項を見てみましょう。
図表2 「引受基準緩和型医療保険の告知事項(例)」
- ● 現在入院をしている、または3ヶ月以内に医師から入院・手術・検査をすすめられたことがある
- ● 過去1年以内に入院または手術を受けたことがある
- ● 過去5年以内に病気※やケガで医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがある
- ※ 対象となる病気のうち糖尿病の合併症では網膜症、腎症、下肢の潰瘍・えそが含まれます。
- ※ 参照 アクサのネット完結保険「アクサのネット完結はいりやすい医療 特長・ポイント」
https://www.axa-direct-life.co.jp/products/su_medical/index.html
糖尿病のある方でも、上記3つの告知事項すべてにあてはまらない場合には、原則として申込ができます。糖尿病があり生命保険への加入を検討したものの、通常の保険に加入できなかった方は、引受基準緩和型保険を検討してみてはいかがでしょうか。ただし、どなたでも加入ができるわけではなく、職業やお申込み内容などを総合的に判断します。その結果、加入できない場合があることも知っておきましょう。
糖尿病のある方は生命保険への加入をできるだけ早めに検討しましょう
糖尿病の既往歴があるから生命保険に入れないということはありません。糖尿病は長期間の入院生活となる場合もあります。糖尿病による入院や手術のリスクに備えるためにも、その他の病気やケガ、死亡などに備えるためにも、早めに生命保険を備えておきましょう。通常の生命保険、医療保険以外にも、加入時の審査基準を緩和した引受基準緩和型保険もあります。健康状態に関する告知項目に該当しなければ原則お申込みはできるので、告知項目を確認してみましょう。
- ※ 当記事は著者個人の見解・意見によるものです。
- ※ 当記事の内容は作成日現在公表されている情報や統計データ等に基づき作成しており、将来予告なく変更されることがあります。
- ※ 当記事で書かれている保険の内容には、アクサのネット完結保険では取り扱いのない商品や手続きがございます。
- ※ アクサのネット完結保険の保険商品の詳細につきましては、重要事項説明書/ご契約のしおり・約款を必ずご覧ください。
- ※ 当記事を参考にご加入中の生命保険の見直し・解約をされる際には、以下3点にご留意ください。
- ① 一度解約した生命保険契約はもとには戻らないこと。
- ② 解約返戻金は解約するタイミングによって、払込保険料の合計額よりも少なくなる場合があること(解約返戻金がない保険商品もあります)。
- ③ 健康状態によっては新たに保険に加入できなかったり、加入できても保険料の増加や一部の保障が対象外になるなど特別条件付きの契約となる場合もあること。
- ※ 個別の税務等の詳細については税務署や税理士等、専門家にご確認ください。
ライター
氏家祥美(うじいえよしみ)
ファイナンシャルプランナー。ハートマネー代表。
お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。
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