「お金を貯められる人は、生まれつきしっかり者なのだ」と思い込んでいる人が、世の中にはたくさんいる気がします。
たしかに、子どもの頃からお金を貯めることが習慣化していて、大人になってもそれほど苦もなく貯蓄できるという人はいます。子どもの金銭感覚の大部分は、周りの大人の金銭教育によって培われますから、それは親御さんのおかげ、と言えますね。
それでは、親が浪費家だと、子どももみんな浪費家になるしかないのでしょうか?――答えはもちろん、「NO」です。
なぜなら、ちょっとした発想の転換をしたり、マイルールを設けたりするだけでも、私達は簡単に「貯まるココロ」を身につけられるからです。
ここまでのステップで、お金を貯めるための下準備については、十分にお話ししてきました。 それをそのまま実践すれば、みなさんはすぐにも貯蓄ができるはずです。 しかし、実際には、なかなかそれができない。できたとしても、続けられない。なぜ続けられないのか? それは“心”の部分に問題があるからです。
経験上、「貯められない人は、自分に自信がない」という傾向があります。
こういう人は、貯蓄を始めると決めても、「どうせ自分なんか、意志が弱いから貯められないよ」とどこかであきらめがち。自分を信じてあげられなければ、やる気が減退し、本当に貯められなくなってしまいます。
それよりは、確信がなくても、根拠がなくても、「自分は貯められるんだ!」と信じることが重要です。
小さいことのようですが、マインドが少しでもプラスになるように意識することで、力がわき、結果もついてくるのです。
その“マインドをプラスにする”ということは、貯蓄成功のカギと言ってもいいでしょう。
少しでもネガティブな気持ちで取り組むと、貯蓄は往々にしてうまくいかないものです。
たとえば、「貯蓄=節約=きつい」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
お金を使いたいのに我慢しなければいけないから、きついし、つらい……そんなふうに思っていると、ストレスがたまり、いつかそれは爆発してしまいます。
爆発すると、多くの人は憂さを晴らすように散財をし、貯蓄の努力をムダにしてしまいます。これではいけません。
そうならないためには、どうすればいいか。答えは簡単、ストレスをためないようにすればいいのです。
ストレスをためないためには、「1円でもムダにしてはいけない」と自分をがんじがらめにして節約に励むより、適度にお金を使うことが重要です。
貯めたいのに使えというのも、何だか矛盾しているようですが、私の知る貯め上手さんは、たいてい“お金を使うことが好き”という共通点を持っています。
というのも、お金は本来“使うべきもの”であり、うまく使って、人生を豊かにするための道具。
つまり、使ってナンボなのです。貯め込むだけでは意味がありません。
だからこそ、ある程度は好きなことにお金を使ったほうが、ストレスはたまらないのです。 とはいえ、当然のことながら、手当たり次第に使っていては、貯蓄はできません。 そこで重要なのが、“目標”です。これまでのステップでもお話ししたことですが、目標を立ててお金を貯め、 達成したらその一部を使う……といった具合に、メリハリを利かせたお金の使い方をしていると、 お金を使う充実感とともに、お金のありがたみを強く実感できます。 そしてまた、好きなことにお金を使うために、お金を頑張って貯めよう、と前向きに考えられるようになるのです。
貯まるココロの育み方、次の講義でもさらに詳しくお話ししたいと思います。