保険お役立ちコラム
この記事では、入院給付金の支払金額の決まり方や、入院給付金をもらうための請求手続き方法について解説します。電話や郵送による請求と、インターネットによる請求ではかかる時間が異なります。入院前から入院給付金を請求する準備をしておきましょう。
入院給付金とは
入院給付金とは、入院したときに医療保険から支払われる給付金です。入院給付金は、保険会社で用意している選択肢の中から契約時に1日当たりの金額や支払限度日数を選んで契約します。契約後に入院すると、「入院給付金日額×支給対象となる入院日数」が支払われます。
入院給付金が最大何日まで支払われるかは、保険会社や各医療保険の設定によって異なりますが、最近では日帰り入院から保障される医療保険が増えています。
- 関連記事:「医療保険の入院給付金(一時金)はいくら必要か解説」
入院給付金はいつもらえる?
入院給付金を受け取るには、保険会社への給付金請求が必要です。請求してから受け取りまでにかかる日数は、1週間程度の場合もあれば、1ヶ月以上がかかる場合もあります。
郵送での書類のやり取りがいらないインターネットによる請求の方が、郵送にかかる時間が不要なため、早く受け取れる傾向にあります。
入院給付金支払いまでにかかる日数は保険会社によっても異なります。必要な入院給付金を早く受け取るためにも、入院前から請求について調べておき、段取りよく手続きを進められるようにしましょう。
請求する権利は期限がある
入院給付金の請求には期限があります。請求期限は各保険の約款に書かれていますが、支払い事由の発生から3年間と定められています。
退院後、請求を忘れていたという方も、入院給付金を請求できるようになったときから3年以内であれば間に合いますので、早めに手続きを済ませましょう。請求の仕方がわからない、やむを得ない事情がある場合は、早めに保険会社のカスタマーセンターに問い合わせましょう。
- ※ 参照 保険法(平成二十年法律第五十六号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420AC0000000056
入院給付金が支払われないケース
入院の理由によっては、入院給付金が支払われないケースもあります。
例えば、健康診断や人間ドック、美容整形などの目的でした入院は、治療目的ではないため入院給付金の対象外となります。
最近の医療保険では、日帰り入院についても入院給付金を支払う場合が増えています。しかし医療保険によっては、「5日以上入院した場合に限り入院給付金の対象」としているものもあります。入院何日目から入院給付金を受け取れるかについても必ず確認しておきましょう。
入院給付金の請求方法
入院給付金の請求方法は、各保険会社のホームページに書かれています。「契約者向け」のページから「保険金・給付金請求」に関するページを開いてみましょう。また、各保険会社では、加入者向けのカスタマーセンターを用意しており、電話による問い合わせ窓口や、チャットによる情報提供を行っています。
問い合わせの際には、証券番号の書かれた保険証券が手元にあると契約内容の確認や手続きをしやすくなります。保険証券にも問い合わせ窓口の連絡先が書かれていることもあります。
請求に必要な書類
入院給付金の請求に必要な主な書類は、「入院給付金の請求書」「診断書」「入院手術等の状況証明書」「領収書・明細書」です。書類の名称は各保険会社によって異なります。
入院給付金を請求する手続きの流れ
入院給付金の請求手続きは、書類を郵送して行う場合と、インターネットで請求できる場合があります。インターネットによる請求の方が郵送に時間が取られないため、入金までの時間が短縮できます。
保険会社から書類を取り寄せる
「入院給付金の請求書」は、保険会社に入院給付金を請求するための書類で被保険者本人が手書きで記入します。
「診断書(入院・手術等証明書)」は、入院や手術内容の証明書です。担当医に記入を依頼するもので、病院の窓口を通じて依頼をします。診断書には通院した日数や、病気やケガの名称、受けた治療の内容などが記載されています。
「入院・手術状況報告書」は、被保険者本人が記入・捺印をします。領収書や明細書でもかかった費用や受けた治療の内容がわかるため、保険会社によっては不要な場合もあります。
必要書類を保険会社から郵送で取り寄せる場合には、到着まで数日がかかるので早めの手続きが必要です。インターネット環境やプリンターがある方は、保険会社のホームページからダウンロードすることで時間の短縮になります。
病院で診断書をもらう
診断書は病院の窓口を通じて担当医に記入を依頼します。診断書の取得費用は、契約者が負担することになりますが、加入している保険や、医療機関によって診断書にかかる費用が異なります。
診断書は、窓口で記入を依頼してから受け取りまでに、1週間から1ヶ月程度かかる場合があります。退院するときに診断書をもらえるように、用紙をあらかじめ手配しておきましょう。
診断書の用紙は、保険会社所定の用紙に限定されている場合もあれば、他の保険会社の診断書や病院で用意している用紙でも可能な場合があります。また、保険会社や治療内容によっては、コピーでも対応可能な場合があります。
提出先が複数ある人にとっては、コピーが可能であれば診断書代の節約につながります。
保険会社に書類を送付する
必要書類がそろったら、保険会社に提出をしましょう。書類を郵送で取り寄せたときに返信用封筒が同封されていれば、それに入れて返送しましょう。
保険の代理店などで加入した場合には、営業担当者を介して手続きができる場合もあります。その場合は、必要書類を担当者に手渡しすると手続きを進めてもらえます。
インターネットで請求手続きをする
入院給付金の請求は、書類を郵送や手渡しする方法だけではありません。一部の保険会社では、インターネットで入院給付金の請求を完結できます。
請求書類を郵送で取り寄せる必要がなく、必要事項についてはインターネット上で入力をします。医師の診断書や領収書などの証明書類についても画像をインターネットにアップロードするため、郵送が不要となっています。事務手続きをオンライン化することで、請求手続きを大幅に簡略化できるので、郵送に比べると入院給付金の振込までの期間を短くできます。
代理人が請求する場合
医療保険の入院給付金は被保険者の治療に使うため、基本的に請求は被保険者本人が行います。しかし、本人が意識不明の場合や病名の告知を受けていない場合かつ指定代理請求人が指定されている場合は、代理人による請求手続きができることもあります。
指定代理請求人とは、本人に特別な事情がある場合に本人に代わって保険金や入院給付金を請求できる人のことで、医療保険に加入するときには、被保険者の同意を得たうえで契約者が指定できます。
もっと知りたい!入院給付金Q&A
入院給付金でよくあるQ&Aについて紹介します。
- 検査入院でも入院給付金は請求できますか?
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入院給付金は、病気やケガの治療目的で入院した場合に支給されます。そのため、単なる検査目的の入院の場合などは、入院給付金は支払われません。
ただし、身体に異常が見られて、医師の指示により検査入院をした場合には、治療の一環としてみなされて入院給付金が支払われることもあります。
- 日帰り入院でも入院給付金は貰えますか?
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日帰り入院の場合は、加入している医療保険が日帰り入院も保障対象としていれば入院給付金を受け取ることができます。
日帰り入院であることを判断する方法としては、入院日と退院日が同一日であることです。また、病院の支払い明細に「入院基本料」の診療報酬が記載されていれば、日帰り入院として判断される可能性が高いです。
わからない場合には、約款で確認するか、各保険会社のカスタマーサービスセンターなどで確認しておきましょう。
- 入院中でも入院給付金は請求できますか?
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入院期間が長期に渡ると、医療費の支払い負担が増していきますが、入院途中でもその時までの入院給付金を請求することは可能です。
しかし、入院給付金を請求するたびに診断書などの必要書類を準備することになるので、ある程度まとめて請求した方が効率的ではあります。
- 同じ病気で再入院しても入院給付金は支払われますか?
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同じ病気で180日以内に再入院した場合には、入院日数が合算されて同一の入院として扱われます。この場合、2つの入院の合計日数に対して、1入院の支払限度日数と通算支払い限度日数の範囲内で、入院給付金を支払います。
- ※ 参照 生命保険文化センター「医療保障に関するQ&A」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/medical_security/420.html
- ※ 参照 生命保険文化センター「医療保障に関するQ&A」
- 入院給付金には税金がかかりますか?
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病気やケガの療養目的で支払われる入院給付金には、受け取った金額にかかわらず税金がかかりません。確定申告も不要です。
ただし、1年間に支払った医療費が高額になり、医療費控除を受ける場合には、1年間に支払った医療費から受け取った入院給付金額を差し引いて確定申告をすることになります。
- 普通分娩での入院は入院給付金の対象になりますか?
- 通常の妊娠や普通分娩による入院など、治療を目的とした入院でない場合は、入院給付金の対象とはなりません。しかし、帝王切開手術による分娩や、切迫流産、切迫早産の治療のための入院などは、入院給付金の対象となります。
スムーズに入院給付金を受け取るには早めに手続きを
入院給付金の請求には医師の診断書などいくつかの書類が必要になります。入院前から入院給付金の請求手続きを調べて、必要な書類をあらかじめ準備しておくとスムーズに入院給付金を受け取ることができるでしょう。書類郵送の手間がいらないインターネット請求ができると入金までの時間が短縮できます。
- ※ 当記事は著者個人の見解・意見によるものです。
- ※ 当記事の内容は作成日現在公表されている情報や統計データ等に基づき作成しており、将来予告なく変更されることがあります。
- ※ 当記事で書かれている保険の内容には、アクサのネット完結保険では取り扱いのない商品や手続きがございます。
- ※ アクサのネット完結保険の保険商品の詳細につきましては、重要事項説明書/ご契約のしおり・約款を必ずご覧ください。
- ※ 当記事を参考にご加入中の生命保険の見直し・解約をされる際には、以下3点にご留意ください。
- ① 一度解約した生命保険契約はもとには戻らないこと。
- ② 解約返戻金は解約するタイミングによって、払込保険料の合計額よりも少なくなる場合があること(解約返戻金がない保険商品もあります)。
- ③ 健康状態によっては新たに保険に加入できなかったり、加入できても保険料の増加や一部の保障が対象外になるなど特別条件付きの契約となる場合もあること。
- ※ 個別の税務等の詳細については税務署や税理士等、専門家にご確認ください。
ライター
氏家祥美(うじいえよしみ)
ファイナンシャルプランナー
ハートマネー代表
お茶の水女子大学大学院修了。
2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち
2010年よりFP事務所ハートマネー代表となる。
「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。